2016/10/7
「タピオカ理論(3)」の続き。
※まことに申し訳ございません。今回は謝罪から入らせていただきます。
以下、恐縮ですがいつもの口調で語ります。
じつは大きな勘違いをしていたことに、この記事の下書きを書いている途中で気づいた(ここまで気づかなかった自分のアホさかげんにあきれる・・・)。
何かというと、レオさんの理論では「過去に戻って過去の世界を体験し、元のいた世界に戻る」ことはできるが、「タピオカ理論(2)」で示したような「過去に戻って、過去の世界を改変し、元いた世界に戻って改変したメリットを享受する」ことはできない。
どういうことか?
まずはタピオカ理論を現在の物理モデルに置き換えた前回のタピオカ式ブレーンワールドでのタイムトラベルの検証からはじめるとする。
基本的にはタピオカ理論のタイムトラベルと同じ考え方だが、下記の図を見てもらいたい。
ブレーンとブレーンの衝突よってブレーンの表面にはたくさんの宇宙が存在してる。
それぞれの宇宙は誕生した時期によって歴史(年齢)が異なる。われわれの住む宇宙のように「今」2016年の宇宙もあれば、20年前の1996年の宇宙、50年後の2066年の宇宙も存在する。
【過去へのタイムトラベル】
「今」2016年の10月1日とすると、20年前の過去に戻りたければブレーン上の宇宙の中から1996年10月1日の宇宙を見つけ出し、バルクのトンネルをくぐって1996年10月1日の出口から出る。そこで1週間過ごして、再びバルクのトンネルをくぐると、出発した日からちょうど1週間後の2016年10月7日に戻ってくる。
【未来へのタイムトラベル】
50年後の未来に行きたければ、ブレーン上の宇宙の中から、2066年10月1日の宇宙を見つけ出し、バルクのトンネルをくぐって2066年10月1日の出口から出る。そこで1週間過ごして、再びバルクのトンネルをくぐると、出発した日からちょうど1週間後の2016年10月7日に戻ってくる。
この方法で他のタイムトラベル理論では難しかった「過去(未来)にタイムトラベルして過去(未来)の世界を体験し、元のいた世界に戻ってくる」ことは可能だ。
しかし、過去に戻って、過去の世界に影響を与えて過去改変し、改変された先の未来へ戻ることはできない。
なぜなら「今」あなたが住んでいる宇宙とタイムトラベルで行った先の宇宙はまったく別の宇宙だからだ。
「今」2016年の宇宙から1996年の宇宙へタイムトラベルし、そこで何らかの過去改変を行う(たとえば恋敵を殺したとする)。
あなたはそのまま元いた2016年の宇宙へ戻る。10年後、あなたの住む宇宙は2026年になっている。しかしあなたの宇宙には改変した影響は現れない(残念なことに恋敵が好きな人と結婚しているかもしれない)。
改変した影響を受けている(自分と好きな人が結ばれる)のはタイムトラベル先の宇宙だ。
だから親殺しのパラドックスもおこらないし、10年後、2026年の宇宙と2016年の宇宙にあなたはそれぞれ存在している。
例えば多世界解釈だと、過去改変した時点で世界が分岐して(SFアニメのシュタインズ・ゲート的に言えば、新しい世界線が出現して)、そこから未来に帰っても元いた未来の世界に帰ることはできない。
自分は改変の影響を受けた未来へたどり着くからだ(改変の影響で自分の親しい人たちがすっかり別人のように変わっているかもしれない)。
タピオカ式ブレーンワールドでは、過去の世界を体験することができるし、元いた自分の未来の世界に帰ることもできるけれども(親しい人たちは以前のまま)、過去改変の影響を受けることはできない。
タピオカ式ブレーンワールドでのタイムトラベルは、過去や未来の世界を体験する観光旅行のようなものである。
やはり過去を変えて、「元いた自分の世界へ戻ること」と「過去を変えた影響を享受すること」の両立はかなり難しそうだ。
ただし意図してかしないでか、レオさんはスレの中でこの2つを両立させる方法に触れていた。この方法についてはタイムトラベルの検証を終えてから、最後に説明したい。
さて、最難関のバルク(タピオカ理論では静止宇宙)にトンネルをつくる方法だ。
どうやってバルクに入るのか?
タピオカ理論による静止宇宙の入り方をもう一度振り返ってみると、
(1)動的宇宙で観測されるヒッグス粒子の質量は一部であり、ヒッグス粒子の大部分が静止宇宙に存在している。
(2)動的宇宙では光は質量をもっていないが、光の本体は静止宇宙にあり、そこでは光は質量をもつ。
(3)光に質量を与えることによって(完全でなくても99.999%のような100%に近い状態で)静止宇宙と同じような空間を動的宇宙に作り出し、質量のある光を身体にまとえば静止宇宙に入ることができる。
これを現代物理学で検証すると、
(1)は2012年に欧州合同原子核研究機関(CERN)のLHCで発見されたヒッグス粒子の質量問題と深くかかわっている。
ヒッグス粒子の質量は量子力学の理論から予想される値から大きく乖離して(ずれて)おり「階層性問題」と呼ばれる。階層性問題の解決策の1つが、「タピオカ理論(3)(タピオカ式ブレーンワールド)」でも紹介したリサ・ランドール博士らが提唱する「重力は余剰次元に漏れている」という考え方である。余剰次元に漏れているから他の3つの力(電磁力・強い力・弱い力)に比べ、極端に重力が弱いのだ。
つまりレオさんの言葉に従えば、重力の大部分はバルクに存在するととらえることができる。
(2)のこれが一番謎だ。
光には質量がないのはみなさんもご存知だろう。正確には光は静止することができない(常に光速だから慣性質量がない)。
しかしレオさんによれば静止宇宙(われわれの世界で言えばバルク)なら光も質量をもつことが可能だという。
逆に考えて、常に光速で運動している光を止めることができれば質量をもつことになるのではないか?
元のスレッドでは光を止める実験も紹介されている。
2013/8/20 WIREDより)
ドイツの研究者たちが、光を結晶の内部に1分間閉じ込めるという記録を達成した。長距離量子ネットワークに利用できるという。
ただしレオさんは「光に質量を与えても速度が落ちることはない」と主張する。これはアインシュタインの光速度不変の原理とも合致する。
それならば仮に(1)のようにバルク上ならヒッグス粒子がこの宇宙にくらべて大量にあるのだから、光にさえも質量を与えることができると仮定する。
光に質量を与えるとどうなるか?
少なくとも光の周囲に局所的な重力が発生するだろう。
重力は一般相対性理論により時空を曲げる。光は光速度を保ちながら極端に歪曲した時空に閉じ込められ、このとき光は停止したように見えるはずだ。
そして仮にわれわれがその光景を見ることができたならば、まぶしくは感じず真っ暗な暗黒の穴に見えるに違いない。なぜなら通常われわらが光がまぶしいと感じるのは、空気中のちりなどによって散乱した光が目に届いているからだ。停止した光がわれわれの目に届くことはない。
強力な重力によって光さえも停止する世界、だからレオさんは時間の存在しない静止宇宙と呼んだのかもしれない。
そしてこの光さえも停止する真っ暗な暗黒の状態、それは現在の物理学でいえばまさしくブラックホールではないか?
レオさんはブラックホールに入れというのか?
動揺しながらも考察を続ける。
(3)ブラックホールをわれわれの世界に作り出し、ブラックホールを身体の周囲にまとってその中に入れば、バルクをくぐってタイムトラベルができる・・・そんなばかな。
他の可能性はないだろうか?
光のように質量のない粒子としてグラビトンという重力を媒介する粒子がある。
これをまとうのはどうだ?
そもそもグラビトン自体がまだ発見されていない仮想粒子だし、例え発見されてもそんな粒子をまとうことは、ブラックホールに入る技術的な難しさと大差ないだろう。
しかしレオさんは現在(2016年)の技術でもタイムマシンをつくることは可能と言っている。
LHCでブラックホールをつくれる可能性は示唆されているが、できたとしても非常に小さなものですぐに消滅してしまう。その中に入ることなんてできるはずがない。
ここで行き詰ったが、ふと、「世界で最初にタイムマシンをつくりそうな男」で紹介したマレット博士のタイムマシンを思い出した。
マレット博士のタイムマシンは一般相対性理論を元にしている。
強い重力があると時空が曲がり重力レンズ効果で光も曲がるのだが、逆の作用で曲がった光はまわりの時空をゆがめる。光自体に質量はないがエネルギーはあるので、そのエネルギーを積み上げていけば時空がゆがめられる。
レオさんも光に完全な質量をもたせろとは言っていない。99.999%の質量の光をつくったらほぼ静止宇宙の光と同等だといっている。
だからマレット博士のタイムマシンのような強力なレーザー光線がミラーに反射され、ぐるりと回ってループし続ける装置をつくる。その装置をたくさん積みかさねていけば、その周囲の時空がゆがめられ、ゆがめた時空に光を閉じ込めることができれば、光に質量をもたせた状態と同等になる。
その空間は、「バルク」=「静止宇宙」であり、一方で同様の装置の小型版を作って身にまとい、その空間に向かって踏み出せば(実際にはバルク空間へ飲み込まれる/ドラえもんの道具タイムベルトのようなイメージ)、バルクへGO!できる可能性がある。
ところで「世界で最初にタイムマシンをつくりそうな男」でも触れているが、マレット博士のタイムマシンで作り出した空間は擬似ブラックホールである。
けっきょくバルクはブラックホールなのだ。
「時間とは-ホログラフィー原理(1)」でも紹介しているが、ホーキング博士によって、ブラックホールに含まれている情報量はその中の体積(3次元)ではなく、事象の地平面の面積(2次元)に等しいことが示されている。
タピオカ式ブレーワールドにおいて、もともとブレーンは3次元の時間であり、われわれの宇宙はその表面(2次元)にくっついている。
ホログラフィー原理では、空間(3次元)の情報は、それを囲む事象の地平面(2次元)に蓄えられていることになる。つまりホログラフィー原理における事象の地平面がブレーンワールドにおけるブレーン(の表面)に対応する。
これは何を意味するか?
●実はわれわれはブラックホールの中に住んでいるのかもしれない。
2014/2/25 ガラパイヤより
マレット博士のタイムマシンが現状どこまで進歩しているのかはわからないが、現実に現在稼動しているのだとしたら偶然にも未来からのメッセージを受け取る可能性がある。
送られてきたメッセージを元にマレット博士が(もしくはマレット博士の理論をもとに同型のタイムマシンを開発した誰かが)身体ごと移動できる完璧な時間移動のシステムを完成させたとすると、2062年にはレオさんがやってきた未来が実現しているかもしれない。
以上がタピオカ理論を現在の物理学に対応させるモデル「タピオカ式ブレーンワールド」の考察だ。
最後にレオさんが元スレッドで触れた「元いた自分の世界へ戻ること」と「過去を変えた影響を享受すること」を両立させる方法だが、デジャブを使う。
もともとタピオカにくっついている動的宇宙は「時間の乱れ」によってその形が瞬間的にゆがむそうだ。
われわれがデジャブと考えている現象は、夢の中で見た光景が現実に再現されたなどではなく、時間の乱れによって動的宇宙がタテに伸びたりヨコに広がったりして変形したときに、「過去」や「未来」を瞬間的に垣間見る現象だという。
ちなみに動的宇宙がタテ(垂直)に伸びた場合には過去を見て、ヨコ(水平)に広がった場合には未来を見たことになる。
そして、デジャブを利用して「過去を変え、その影響を自分も享受する方法」とは、「もっともお手軽な過去を変える方法(3)」と同じような結論になるが、「未来」を垣間見て、その経験を元に自分の最もよい「今」を選択していく方法である。
例えばデジャブで飛行機事故に遭遇する瞬間を垣間見たら、それを参考になるべく飛行機に乗らないようにすればよい。
もちろん自らの意思で自由にデジャブを見ることはできないので不確実な方法だが、最後に可能性として示したい。