●「明晰夢を見る方法(3)」(明晰夢実験体験記)

2017/12/15

 

Hypnagogiaイメージ
Hypnagogiaイメージ

 

「もっともお手軽な過去を変える方法」として夢を使ったタイムリープを紹介しているが、この方法ではタイムマシンや特別な装置を使わないかわりに「明晰夢」という夢をコントロールする技術を習得する必要がある。

 

そこで「明晰夢を見る方法」「明晰夢を見る方法(2)」と過去2回考察、実践してきたが、いずれも見ることはできなかった。

 

しかし、やっとついに明晰夢と断言できる夢を見ることができた!

 

その方法と経緯を報告したい。

 

 

まず「明晰夢を見る方法」で開始した「夢日記」(昨夜見た夢の内容を目覚めてからメモにとる方法)はずっと続けていた。何日か飛ばした日もあったが累計70日以上続けている。

 

さらに今回は「明晰夢を見る方法(2)」で紹介したオーストラリア・アデレード大学のデンホルム・アスピー博士の明晰夢実験に参加した。

アスピー博士の実験はオンライン上なので遠く離れた日本からでも参加が可能なのだ。

(現在実験は終了している)

 

今回明晰夢を見ることができたのは博士の実験の効果が大きいと思う。

 

あらためて、アスピー博士の簡単なプロフィールを紹介しよう。

 

デンホルム・アスピー博士はオーストラリアのアデレード大学の客員研究員として勤務している。

 

主な研究テーマは明晰夢で、トラウマを抱えたスポーツ選手に明晰夢を使って夢の中でリハーサルすることで、悪夢の再発を治療したり運動能力の改善につなげようと試みている。

ただ明晰夢の科学的研究はほとんど行われていないのが現状で、博士はその要因として明晰夢を見ること自体が難しいことをあげている。

だから明晰夢を生み出す信頼性の高い方法を開発するためにこの実験をはじめた。 

 

 

●アスピー博士の実験「明晰夢テクニック」について

博士の実験に参加する条件としては、統合失調症のような心因性障害やナルコレプシー(wiki)のような睡眠障害を患っている人たちは避けて欲しいという。

※英語サイトなのである程度の英語力も必要だが、Google翻訳を駆使すれば大丈夫だろう。

 

まずアスピー博士のサイトから参加申し込みを行う。

一般的な年齢、性別、職業の他、一晩で何回夢を見るか、夢の内容を覚えているかなど、さまざまな夢に関するアンケートに答える必要がある。30問近くあるので途中でくじけてしまいそうになる。

 

なんとかアンケートをこなすと博士からメールが送られてくる。

明晰夢実験は全2週間のスケジュールで構成されており、最初の1週目(7日間)はテクニックを使わず見た夢に関するさまざまな記録をとる。具体的にはオンライン上でメールに記載されたリンク先のアンケートに答える形だ。

 

1週目の最後のアンケートに答えると、いよいよ明晰夢テクニックの詳細が記載されたメールが届く。テクニックの指示通り次の2週目(7日間)にチャレンジすることになる(2週目はなるべく連続で続けることが推奨されている)。

 

【1週目】

 最初の7日間はスマホなどを近くにおいて眠り、目覚めたらすぐにアンケートに答える(または夢の内容をメモにとる)。人はすぐに昨晩見た夢の内容を忘れてしまう。起きてすぐ、他の動作や思考をしなうちに行うのがよい。

 

どうしても夢の内容を思い出せないときは、直前何の夢を見ていたのか断片でも思い出すことに集中し、断片が思い出せたらそこをきっかけに夢を逆再生していくことで、うまく思い出せることがある。これは夢日記をつけるコツとしても役に立つ。

 

1週目のアンケートは1回17問で、初日は15分ぐらいかかるかもしれない。慣れれば10分程度で答えられるはずだ。

 

アンケート内容で興味をもったのは、その日見た夢に独自のタイトルをつける質問。複数見たのならそれぞれの夢にタイトルをつけ、それぞれの夢をどれくらい覚えているか、どれくらい鮮明か、どれくらい再現できるかなどに答える。

タイトルをつけることで昨晩の夢をもう一度深く思い出すきっかけになる。

 

【2週目】

1週目の最後のアンケートに答えると、2週目の指示メールが送られてくる。

このメールには「Transitional Experiences:Hypnagogia and Sleep Paralysis」という明晰夢にチャレンジする際にたまに現れる2つの症状「Hypnagogia(入眠時幻覚)」と「Sleep Paralysis(睡眠麻痺)」について記載されたpdfが添付されている。

 

まず前提として、明晰夢はREM睡眠のときに見る可能性が高い。

「REM睡眠(Rapid Eye Movement sleep)」は、眼球がすばやく運動しているときの睡眠状態で、眠りはじめてから1時間30分ごとに起こりやすく、とくに5時間ほど経過した後のREM睡眠は長時間になる。※下記の睡眠段階のグラフを参照。

途中で目が覚めて2度寝するときはより早くREM睡眠に入ることができる。

Denholm Aspy/Transitional Experiences:Hypnagogia and Sleep Paralysisより
Denholm Aspy/Transitional Experiences:Hypnagogia and Sleep Paralysisより

 

「Hypnagogia(入眠時幻覚)」はカタカナだとヒプナゴジアと書く。耳慣れない言葉だが、眠りに落ちる前に現れる不思議な光が見えたり幻聴を聞いたりする現象のことだ。

「Sleep Paralysis (睡眠麻痺)」は身体(筋肉)は眠っているのに脳が覚醒していて意識はあるのに身体が動かせない状態で、いわゆる金縛り。

 

この2つは明晰夢を見やすいREM睡眠時に起こりやすく、金縛りにあって身体が動かせないときに、髪の長い女性が天井から自分をみつめていたというような恐怖体験は、ヒプナゴジアと睡眠麻痺が合わさって引き起こされる。

 

上のような幽霊はただの幻覚で、2つの症状は医学的にも害はなく、何も心配することはない。博士によれば、むしろこれらを経験した後に明晰夢を見る確率が高まるそう。

 

ヒプナゴジアや睡眠麻痺が起こったときは、あわてず、現象がおさまるまで静かに落ちいていればよい。

 

眠麻麻痺を避けるためには8時間以上の睡眠と、仰向けで寝た際に起こりやすいので横向きで寝るのが効果的。

 

睡眠麻痺が起こったときはまず落ちつくこと。幽霊や得体の知れない何かを見ても、それは幻覚なのであわてない。

むやみに身体を動かさず、健康には害がないものと自覚する。ゆっくりと深く呼吸し、指先やつま先を小さく動かしてみる。それでもだめなら咳をしてみる。呼吸が麻痺することは絶対にない。

 

この2つの性質を理解した上で明晰夢テクニックにチャレンジする。

 

目が覚めているときに少なくとも事前に1回テクニックを試しておく。

またテクニックによって睡眠時間が短くなるので、いつもより15分~30分早めに寝るか、翌朝いつもより余裕のある時間を作っておいた方がいい。

 

 

【明晰夢テクニック】

(1) まず夢の中でやってみたいことを考える。空を飛んだり、好きな人に会いにいくなど。

※私(BTTP)はこのサイトらしく「過去に戻る」ことに設定してみた。

 

(2) 眠ったあと5時間後に目を覚ますようにアラームを設定する(2度寝のREM睡眠に入りやすいため) 。そしてアラームをベッドから出なければオフにできない位置におく(アラームを切って再びすぐに眠ってしまうのを避けるため)。

電気をつけてトイレに行ってもOK。

 

(3) 目覚める直前に見ていた夢を思い出す。1~2分とにかく集中して見ていた夢を思い出す。

どうしても思い出せないときは最近見た夢の内容でもいい。そして「次に夢を見ているとき、自分が夢を見ていることを思い出す」と呪文のように何度も自分に言い聞かせる。

ばかばかしいと思うかもしれないが、これが一番効果的で重要なことだ。

途中で明日の予定とか他のことを考えてしまうかもしれないが、そのときは心をいったんリセットして、もう一度「夢の中で自分が夢を見ていることを思い出す」と自己催眠のように言い聞かせる。なるべくなら身体を動かさない。

 

(4) (3)で思い出そうとした夢に戻れるように集中しながら、リアリティ・テストをしてみる。具体的には片方の手のひらに、もう一方の手の人差し指を押し込む。

リアリティ・テスト
リアリティ・テスト

もちろん目が覚めていれば人差し指が手のひらを突き抜けることはない。だが夢の中では突き抜けてしまう。夢の中で人差し指が手のひらを突き抜けるイメージをしてみる。

 

(5) (3)の「夢の中で自分が夢を見ていることを思い出す」と繰り返しながら、眠ってしまえばチャンス。途中で再び目が覚めてしまったときも同じようにテクニックを繰り返せばよい。コツはなるべく前向きにとらえること。明晰夢を見るのだという期待がチャンスを生む。

 

(6) 最初に注意したヒプナゴジアや睡眠麻痺の症状が現れてもあわてずリラックスして、これもまた明晰夢を見るチャンスだと前向きにとらえる。

 

 

●明晰夢を見たら、どうすればよいか?

せっかく明晰夢が見られたとしても、慣れないうちはすぐに目が覚めてしまう。目が覚めてしまわないように次の3つを実行する。。

 

(1) まず落ちつく。興奮するとすぐに目が覚めてしまう。

 

(2) リアリティ・テストを行う。片方の手のひらに片方の人差し指を押し込んでみる。夢の中なら人差し指が手のひらを突き抜ける(これは本当にそうなる)。

 

(3) 夢を安定させるために両手をはげしくこすりあわせる。このとき「これは明晰夢だ」繰り返しとなえる。自分の手の感覚に集中することで意識を夢の中に閉じ込めることができる。

周囲が暗くなったら目覚めてしまう合図なのですぐに手をこすりあわせる。完全に暗くなっても1分間は続ける。実際にはまだ夢を見ている可能性がある。

 

リアリティ・テストに1度成功すればかなり夢を安定させられる。あとは空を飛ぶなり好きな人に会いにいくなりご自由に!

 

なお「偽の目覚め」に注意。明晰夢を見てベッドで目を覚ましても実際にはまだ夢の中にいるときがある。何か普段と変わったところがないか、自分の身体や周囲を観察し、リアリティ・テストをしてみる。もし人指し指が手のひらを突き抜ければ、再び明晰夢に戻ることができる。

※これは実際に私も体験した。

 

2週目のアンケートは、1週目と同様毎朝ベッドから出る前にすませた方がよい。「明晰夢テクニックを試したか?」、「リアリティ・テストをしたか?」などの質問が増えて1回28問。1週目より時間がかかってしまうので、朝余裕がなければとりあえず昨晩の夢の情報をメモしておく。

 

2週目の最後のアンケートには、アスピー博士から実験参加への謝辞と、1年後ぐらいに実験結果を学会で発表すること、結果を参加者へ送ってくれることが記載されている。

 

 

実験に参加して感じたのは、前回「明晰夢を見る方法(2)」で紹介した手法と博士の手法とでは、細かい点でいろいろ異なっていることだ。

私も責任を感じているが、いろいろなサイトで紹介されている情報の信頼性・正確性には気をつけた方がいい。

 

これから明晰夢にチャレンジする方には、今回のアスピー博士の明晰夢テクニックをぜひお勧めしたい。

 

 

●明晰夢実験体験記

私(BTTP)の実験結果を参考として報告する。

 

【1週目】

11/24~12/1まで実施。途中の1日だけどうしても夢を思い出せない日があり、その日はアンケートをパスした。それ以外の7日間は毎晩平均1.7回夢を見た。

夢のタイトルを英語に訳す必要があったので、毎朝夢の情報をメモしておいて、日中余裕のある時間でアンケートに記入した。明晰夢らしき夢は見なかった。

 

【2週目】

12/3~12/9まで実施。2週目はなるべく連続で続けた方がよいとの指示があったので、なかなか夢が思い出せない日もあったが7日間気合で続ける。

 

明晰夢テクニックをはじめて試した初日(12/3)に見た夢の中で、不思議なレストランで食事した際、空気が淀んでいるというか、景色の色彩がとても濃いと感じた。

 

2日目から5日目までの夢は特に変わったところはなかった。

 

落胆しかけた6日目(12/8)の夜、4時半頃目覚めた。

 

それからテクニックにチャレンジし、ついに明晰夢を見た!

 

最初はどこか高い山の上から湖を見下ろしていた。普段の夢と明らかに映像が違う。

鮮やかで、湖がとてもきれいだった。

夢の中の湖

そこから田舎道を下りていく。自分の意志では体がコントロールできず、何かにひっぱられているようだ。

夢の中の田舎道

日本の田舎の家屋が並んでいる。人が誰もいないのが気になった。

夢の中の町並み

突然地面にひっぱられてうつ伏せに。地面の砂利を見つめていた。

 

景色が変わって現在の寝室。目が覚めたのかと思ってリアリティ・テストをするが人差し指が手のひらを突き抜けた。

まだ明晰夢が続いていると確信し、目が覚めないように両手をこすり合わせると、確かに手のひらの感触を感じた。

服を着替えて車に乗り込み外出する。

 

突然夕方に。車を降りて細い路地を抜けると、きれいな桜の咲く丘に出た。

映像がすごい! 4Kのハイビジョンテレビみたいだ。

夢の中の桜

空を見上げると夜になりたての星空が広がっている。

夢の中の星空

桜の下に人影を見つけて近づいていくが、様子が変だ。

 

その瞬間身体がひっぱられて目覚める。だがまだ睡眠麻痺の状態で身体が動かせない。

もう一度明晰夢にチャレンジしようと試みる。

ヒプナゴジアらしき幻覚を体験。目がまんまるのおかっぱ外人女性が現れる。

幻覚とはわかっていても気味が悪かったので、目覚めることを決意。

足のつま先から動かせるようになり、起きた。

 

特筆したいのは明晰夢の鮮やかさ。これは言葉では説明できない。4Kテレビの中に自分がいるようだった。明らかに普段の夢とは違う。夢の細かな部分もかなり覚えている。この映像を体験するだけでも明晰夢を見る価値がある。

※夢の中のイメージに近い写真を選んで加工してみたが、まだまだ明晰夢の景色とはほど遠い。

 

このあと7日目は普通の夢。その後も夢日記や明晰夢テクニックを続けているが、6日目の夜に見たような明晰夢は見てない。

1度見られたからといって、そんな簡単にはいかないようだ。

 

また今回の明晰夢は、夢の中で夢を見ているという自覚もあったが、夢の内容をコントロールすることはできなかった(当初目的にしていたのは過去に戻る夢)。

 

このサイトの最終目標は明晰夢ではなく、過去に戻る方法の1つとして、タイムリープを検証することだ。

 

これからも「(1)明晰夢を見て→(2)夢をコントロールして過去の世界を再現し→(3)過去の自分へ入っていく」というタイムリープの検証を続けていきたい。

 

とりあえず(2)や(3)への進展があれば随時報告する。

 

もしかしたらそのとき、私は他のマルチバースにいるかもしれないが(笑)。