●「時間と宇宙と運命の法則(3)」(マンデラ効果の原因)

2018/9/14

 

CERNのLHCが放つ重力波イメージ

「時間や宇宙の仕組み」、「われわれの運命はどうやって決まるのか」、そして「過去が変わる可能性」を考察するシリーズの3回目(最終回)。

 

今回は過去が変わった証拠になるかもしれないある現象を考察していく。

 

 

突然だが、みなさんは「マンデラ効果」(マンデラ・エフェクト)というのをご存知だろうか?

 

大半の人がはじめて耳にする言葉だろうが、都市伝説好きの方は聞いたことがあるかもしれない。

 

ネット掲示板などで秘かに話題になっているオカルト現象だ。

 

1回目2回目と読んでくださった方の中には「最終回にしてオカルト現象を持ち出すのか?」と呆れる方がいるかもしれない。

 

だがもともと私は、不思議な現象を現在の科学で説明しようとすれば、どんな仕組みで可能なのかを知りたくてこのサイトを続けてきた。※概要参照

 

だから、できるだけ論理的な考察を前提とした上で、オカルト現象や都市伝説でも、それが目的の仮説を説明するのに有効ならば、積極的に使っていきたい。

 

 

さて前置きはこれぐらいにして、「マンデラ効果」(マンデラ・エフェクト)とは、それまで信じ込んでいた記憶が実はまったくの誤りだったという「記憶のエラー」を、複数人で体験する現象だ。

 

かんたんに言えば「集団的な記憶違い」である。

 

マンデラ効果」の「マンデラ」とは、南アフリカ共和国の政治家で、生涯をかけてアパルトヘイト(白人以外の人種差別)と闘ったネルソン・マンデラ氏に由来する。

 

マンデラ氏は投獄中の1980年代にすでに亡くなっていたはずだという誤った記憶(実際は2013年にこの世を去った)を主張する人が複数現れたことから、作家で超常現象研究家のフィオナ・ブルーム氏が「集団的な記憶違い」現象に付けた名前である。

※フィオナ・ブルーム氏は「THE Mandela Effect」というサイトを2009年に立ち上げている。 

 

 

ネットの巨大掲示板5ちゃんねるでもマンデラ効果をテーマにしたスレッドが2011年からシリーズ化している。

※「スレッド」とはある話題についてみんなで投稿しあう集まりのこと。

 

 

本稿を書いている2018年9月14日の時点では、2018年9月1日に立った「【マンデラ】現実と違う自分の記憶21【宮尾すすむ】 」が最新のスレッドだ。

  

マンデラ効果」の例をいくつかあげてみる。

 

 

最近世界地図を見たらニュージーランドやオーストラリアの位置がおかしい

→オーストラリアはパプアニューギニアやインドネシアともっと離れていて、ニュージーランドはオーストラリアの北東にあったはず

 

48都道府県だったはず

→実際は47都道府県 

 

□アメリカ合衆国の州は51州か52州だったはず

→実際は50州

 

□ディズニー映画のオープニングロゴにはティンカーベルがいた

→オープニングにティンカーベルは出てこない 

 

フォルクスワーゲンのロゴはVとWがつながっている

→実際はVとWが少し離れている 

 

□漢字の一部が思っていたのと違う

→「勉」の「力」が「ム」、「短」が「豆矢」、完璧の「璧」が「壁」など 

 

 

この中に思い当たるものがあるだろうか?

 

5ちゃんねるのスレッドには、実際はまだ存命なのに、すでに亡くなったと誤解されている有名人や他のたくさんの事例が投稿されている。

※このサイトの「並行記憶(1)(マンデラ・エフェクト)」でもいくつか紹介しているのでご覧ください。

 

 

マンデラ効果」をテーマにしたスレッドが「2ちゃんねる」(5ちゃんねるの前身のネット掲示板)にはじめて立ったのが、2011年7月18日(「宮尾すすむがもっと昔に亡くなっていた記憶」というタイトル)で、現在(2018年9月)までに20本のスレッドが消化されている。

※「5ちゃんねる」を普段見ない方のためにかんたんに説明しておくと、1000回のレス(投稿)がされるとスレッドがいっぱいになりそれ以上書き込めなくなる。

次に誰かが新しいスレッドを立てない限り、その話題は終了となってしまう。だから950レスを過ぎたあたりで、普通は気をきかせた誰かが次の新しいスレッドを用意する。

 

「5ちゃんねる」のスレッドの仕組みを利用すれば、あるテーマに関して「1日にどれだけのレス数(投稿数)があるか」や、「どれだけ短い期間で1000レス消化されたか」で、そのスレッドの勢い(人気度)がわかる。

 

 

ちなみに「マンデラ効果」の2011年7月から2018年9月までの8年間に立ったスレッドを「それぞれの年ごとに投稿された合計レス数」と、「1日あたりの平均レス数」でグラフにしてみた。

5ちゃんねるのマンデラ効果スレッド勢いグラフ
5ちゃんねるのマンデラ効果スレッド勢いグラフ

2011年にはじめてスレッドが立ってから2014年ごろまでは順調に消化されていたが、2015年になると勢いに陰りが見えはじめ、2016年は1000レス消化されずに途中で落ちて(人気がなくなり途中で消えて)いる。だが2017年になって再び勢いを盛り返している。

 

 

さらに、このグラフにあるデータを加えてみた。

マンデラ効果スレッドの勢いグラフとCERNのLHC稼動日データ
マンデラ効果スレッドの勢いグラフとCERNのLHC稼動日データ

バックにピンク色をつけた部分は、スイスのジュネーブにあるCERNのLHCが稼動した期間で、青色は停止した期間だ。

 

 

ちなみにCERN(セルン:欧州原子核研究機構)とはミクロの領域を研究する素粒子物理学の世界最大の研究機関で、LHC(エル・エイチ・シー:大型ハドロン衝突型加速器)はCERNが所有する世界最大の粒子加速器だ。

 

LHCは素粒子と素粒子を加速させてものすごい速さで衝突させ、高エネルギーの状態で新しい物質を作り出す実験を行なっている。

 

 

何でわざわざこんなグラフを作ったかというと、5ちゃんねるのスレッドやブルーム氏のサイトで、マンデラ効果の原因について、CERNのLHCの実験の影響が触れられていたからだ。

 

 

LHCが稼動を開始したのは2008年9月10日。

マンデラ効果(集団的な記憶違い)がちらほら報告されはじめたのは翌年の2009年からだという。

 

ブルーム氏のサイトが開設されたのが2009年(「THE Mandela Effect」のSITE HISTORYより)。

 

2009年9月に映画「ゴースト/ニューヨークの幻」で有名になった俳優パトリック・スウェイジがに亡くなった際、もっと前に亡くなっていたと主張する人々が何人もいた。

「記憶違いはパラレルワールドの影響だった!? 超常現象研究家が主張する“マンデラ効果”が無視できない理由とは?」

2017/2/10 トカナより

 

 

LHCは2013年2月から2015年4月までメンテナンスと性能アップのためにシャットダウンしているが、この期間にマンデラ効果のスレッドは一度勢いを盛り返している。

マンデラ効果」の名前の由来となったネルソン・マンデラ氏が2013年に亡くなり話題になったのがその要因だろう。

 

そして実験が再開された2015年には、逆にスレッドの勢いは落ち込み2016年まで低迷していたが、再び2017年になって勢いを増している。

 

今年の7月25日にLHCは今までの原子核だけでなく、原子核と電子を含めた初の原子の実験をはじめた。

  

●LHC accelerates its first “atoms”(LHCは初の "原子"を加速する)

2018/7/27 CERNより

 

するとマンデラ効果のスレッドは今までで一番の盛り上がりを見せ、8月から9月までの1ヶ月間で1000以上のレスが投稿されている。

 

 

以上をまとめると、マンデラ効果のスレッドの勢いLHCの稼動期間は、相関している部分もあるが、完全に一致しているとは言い難い。

 

 

なおLHCの実験がマンデラ効果の原因の候補になっている理由は、「LHCの実験によってブラックホールができるのではないか?」と懸念されているからだと思われる。

 

この懸念はLHCが稼動をはじめる前から話題になっており、CERNはLHCの実験の安全性に関するコメントをわざわざ発表している。

※日本版CERNとも言えるKEK(高エネルギー加速器研究機構)の「LHCの安全性について」を参照。

  

例えば、通常LHCの実験で作り出せるエネルギー程度ではブラックホールはできない。

 

ただし、われわれが認識できない余剰次元(4次元空間以上の次元)が存在するならば、ごく狭い距離で重力がとても強くなり、LHCで可能なエネルギーの範囲でもぎりぎりブラックホールができてしまう可能性がある。

 

それこそその通りにマイクロブラックホールが生成されれば、多次元の存在を証明でき、並行宇宙を使ってタイムトラベルする方法を提案している私にとってはすばらしい発見になる。

※並行宇宙を使ったタイムトラベルはこのサイトの「ホーキング博士とタイムトラベル」を参照。

 

だが、残念なことに、例え条件が重なって生まれた幸運なブラックホールも、ホーキング放射によってあっという間に消滅してしまう。

 

またCERNによれば、われわれの地球にはLHCをはるかにしのぐ速さで加速された宇宙線が降り注いでおり、大気圏で繰り返し高エネルギーの衝突が起こっている。

その規模は過去に大気圏でLHCの実験を100万回繰り返したようなものだという。

 

もしLHCの実験でブラックホールが発生して地球が飲み込まれてしまうのなら、われわれの地球は大気圏にできたブラックホールによって、とっくの昔に消滅しているはずだ。

 

 

なんだ、大丈夫じゃないか。

  

では、なぜ最終回にわざわざマンデラ効果を取り上げたんだ?

 

その理由はマンデラ効果の原因について、ある「仮説」を思いついたからだ。

 

 

今年3月に亡くなったホーキング博士は、この宇宙以外にもわれわれと似たような並行宇宙がたくさん存在する可能性を示唆している。

※このサイトの「文系でもわかるホーキング博士の最後の論文解説(3)」を参照。

 

この宇宙以外にも並行宇宙がたくさんあって、その並行宇宙の地球1つ1つにLHCが存在していたら・・・。

 

 

前回紹介した重力の特性を思い出してほしい。

 

重力だけが他の3つの力(電磁力・強い力・弱い力)と違って次元間を移動できる。

 

 

CERNは、われわれの地球にはLHCのエネルギーを超える宇宙線がぶつかっているのにブラックホールは発生していないから安全だという。

 

でも考えてみよう。宇宙線が「いつ」、地球の「どこ」にぶつかるかは、量子的なミクロの話なので、確率的にしかわからない。

だから並行宇宙でもどこに衝突するかは確率的にばらけるはずだ。

 

 

だがLHCが建設されているのは並行宇宙でもスイスのジュネーブで、それはマクロ的な存在で一箇所に確定している。

 

 

CERNは、現在のLHCのエネルギー程度ではブラックホールはできないという。

 

確かにたった1つのLHCのエネルギーではブラックホールは生まれないかもしれない。

 

だが並行宇宙が1000や10000・・・無限に存在していたらどうだろう?

 

その並行宇宙のLHCが2008年9月以降に同時に実験を開始したら?

 

 

重力は重力波という波によって伝播する。

 

この重力波は非常に弱いもので、銀河の彼方で発生した重力波が地球に届いたとしても、その信号の大きさは、地球と太陽の距離で水素原子を1個分動かせる程度にすぎない。「KAGRA大型低温重力波望遠鏡ホームページ」の重力波より)

 

 だが、どんな波にも「干渉」という特性があって、複数の波がぶつかるとお互いを強めあったり弱めあったりする。

 

 

ブラックホールは重力波の発生源の1つと考えられている。

 

並行宇宙の1つ1つのLHCで、われわれの技術では観測できないほどの短い時間(あるいは極小の大きさ)でマイクロブラックホールが生成され消えていったとする。

 

その際に数え切れないほどの並行宇宙から発せられたほんのわずかな重力波が干渉して強くなり、多世界解釈の可能性の世界をゆさぶることのできる重力波になったとしたら?

 

複数の並行宇宙のLHCから発せられる重力波
複数の並行宇宙のLHCから発せられる重力波

 

問題になるのはあとは並行宇宙の実験が重なる「いつ」かだけだ。

 

 

前回の考察で紹介したように、多世界解釈を考案したエヴェレットは「m」という関数を可能性の重み付けとして使い、可能性(世界数)が多いほど、勢いがあり、その属性をもったわれわれが多い、つまり歴史の主流になると言っている。

※われわれの世界で47都道府県なのは、48都道府県の世界より47都道府県の世界が圧倒的に多いので、われわれがそこに属する可能性が高いから。

 

さらに不確定性原理により、ミクロの領域はつねにあらゆるものが揺らいでおり、可能性はミクロの領域にあるので、量子力学の「ゆらぎ」の影響を受ける。

 

無限の並行宇宙のLHCから放たれた重力波は、干渉して強め合い、シュレーディンガーの猫の生死を変えるように一度確定した可能性を揺らがせる。

重力波によって揺さぶられるシュレーディンガーの猫の生死

 

それがマンデラ効果の原因ではないか?

 

マンデラ効果スレッドの勢いとLHCの稼動期間がずれていたのは、並行宇宙のLHCの実験日がずれていたせいかもしれない。

 

 

途方もない仮設と思われるだろう。

 

 

でもアメリカのLIGOや日本のKAGRAのような重力波望遠鏡で、観測されるはずのない地球由来の重力波が観測されたとしたら・・・。

 

現在のLHCや世界中の他の粒子加速器では、マイクロブラックホールですら作ることが難しいとされているので、観測可能な重力波を発生させることは到底できない。

 

観測された地球由来の重力波を説明する理論は、私の仮説「並行宇宙からの干渉」以外にそう多くはないはずだ。

 

そのときこそ、過去が変わる可能性を実証できる第一歩になるかもしれない。