●過去を変える方法(2)

2016/7/7

 

「現在」から「過去」を変えるにあたり、まずはどうゆう風に改変するかを決める必要があるだろう。貧乏な"今"の暮らしを変えるため、例えば過去に1億円の宝くじを当てて大金持ちになっている"今"のように改変してみよう。具体的には「過去に1億円の当たりくじを自分が買った」という事実が100%になるように調整すればいい。

 

過去に起こった事象の確率といえば、弱測定(量子の重なりあった状態を壊さずに観測する方法)のときに出現した負の確率が思い浮かぶ。つまり弱測定で観測した負の確率が-100%になるように調整してやる。先の例では、「1億円の当たりくじを自分が買った」という過去の確率が-100%になるようなルートを見つけてやればよい。

 

まず、どうにかして境界表面(宇宙の地平面/ブレーン)上に存在しているすべての可能性を観測し、「1億円の当たりくじを自分が買った」という事象につながる情報をくまなく探す。当選番号、売り場の場所はもちろん、人よりも先に自分がその売り場へたどり着くための日付や条件など、大変だがすべての可能性はブレーン上に存在するので、探せばきっと見つかるはずだ。

 

ただし観測する際には注意が必要だ。普通の状態でブレーンを観測すると強測定になり、波束の収縮が起こっていつまでたっても-100%の確率には届かない。弱測定で弱い観測を繰り返し慎重に行うのだ。

 

そして「1億円の当たりくじを自分が買った」確率が-100%のルートが見つかれば、こんどは時間の矢にそって"今"どういった選択していけば-100%の確率にたどり着けるか、コンピュータでシミュレーションする。おそらくこの計算には量子コンピュータのような超高性能のコンピュータが必要だろう。そして見事シミュレーションを完成することができれば、節目となる大きな過去改変のポイントを発見できるはずだ。

そこで、今度はあなた自身がシミュレーションにより導かれたポイントで、実際に"今"を選択していく。

 

選択された"今"は量子のもつれにより境界表面(宇宙の地平面/ブレーン)上の確定された情報として収縮し、"今"のあなたは大金持ちになっているというわけだ。このときあなたのことを貧乏と馬鹿にしていた人がいたとしても、虚偽記憶で説明したようにその記憶は修正され、金持ちになった"今"のあなたを羨望のまなざしで見ているだろう。

 

簡単に書いてしまったが、今まで述べた方法はまったくの思考実験であり、実際には「事象の境界表面(宇宙の地平面/ブレーン)がどこにあるのか?」、「どういう手段で観測するのか?」など、まったく検討がつかない(ただし重力波なら非常に弱く干渉できるので、画期的な重力波望遠鏡が開発されれば可能性はある)。

そもそも境界表面上の情報とは、宇宙のすべてが記録されているというアカシックレコードと同義になり、ラプラスの悪魔を生み出すことにもなりかねない。運よく観測することができたとしても、非常に取り扱い注意な情報なのだ。

 

また仮に観測できたとしても、境界表面上の情報を自分が思うようにシミュレーションするには、どれだけすごいスーパーコンピュータが必要だろう。現在から過去へ時間をさかのぼるに従って、可能性の振れ幅も処理しなければならない情報量も膨大に膨れ上がる。

 

ただ個人的な考えを述べると、今回考察した「過去を変える方法」は、タイムトラベルの基本で紹介したワームホールをくぐったり無限の長い宇宙ひもを周回するよりも、いくらか現実的な気がするのだ。

  

この境界表面上の情報を弱観測して過去改変する方法、長いので、ホログラフィックな情報を望遠鏡で観測するイメージから「ホロ・スコープ理論(Holo-Scope theory) 」と名付けた。ちなみに星占い(Horoscope)とはまったく関係ない・・・。

ブレーンスコープimage

 

物理に詳しい方からすれば欠陥だらけだし、ニック・ボストロム氏が提唱するシミュレーション仮説の一種の変形だ。なんとなく連想されるのはキアヌ・リーブス主演の映画「マトリックス」だろう。大好きな映画だが、強調したいのは「マトリックスが見ている」のではなく、我々が「マトリックスを観測する」のだ。

  

さて今回でとりあえず、物理学のさまざまな理論を使って、素人が「過去を変える方法」を考察するのはおしまいです。読みにくい長文をここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。

 

最後に、ご紹介したいろいろな理論の間違い、考察の矛盾など、こちらまでご指摘いただけたらありがたいです。