2016/6/8
いままでに説明してきた2つの時間のうち、過去・現在・未来と認識している時間を「歴史的な時間」(Histrical time)、そして一方向にのみ進む時間を「時間の矢」(Arrow of time)とする。ここで「歴史的な時間」と「時間の矢」を相対性理論から2つの次元ととらえると、面白い特徴が見えてくる。
次元とは、ある空間で広がる方向の数や、ある空間で特定の場所を指定するのに必要な数のことだが、それぞれの次元は互いに直交する(垂直に交わる)という特徴を持っている。
そこで2つの時間が直交していると仮定して、下のような図をつくってみた。
ここで強調したいのは現在を"今"と表記していること。そして"今"は常に最新であり、「時間の矢」の最先端に位置する。ご覧のとおり"今"の先に未来はない。では未来はどこにあるかというと直交した右に(スポットライト理論の時間対称性から実際は左右どちらでもかまわないのだが)広がっている。過去は反対側の左だ。
そして「歴史的な時間」は"今"を起点として両サイドに広がっていく。"今"から離れるに従って広がっていくブレの大きさを「歴史的な時間」の可能性とし、未来はもちろん過去にいたっても、確実に確定されたものではないことを表現している。過去と未来は"今"を起点として、常に変化しているのだ。
まさかと思うだろう。でも過去や未来が確定したものではないと思えるような事例がある。次回は「弱測定」という観測方法で得られた奇妙な確率を紹介する。