2018/10/12
この前次元について調べていたときに、YAHOO知恵袋でおもしろい質問を見つけた。
1次元:点
2次元:面
3次元:空間
4次元:時間
5次元:多宇宙
6次元:瞬間移動
7次元:時間移動
8次元:真空
9次元:絶対温度
10次元:虚数の世界
11次元:揺らぎ
12次元:異世界
これって本当ですか?(YAHOO知恵袋より)
なんで12次元目まであるのかわからないが、なかなか変わった次元の見解だ。
他にもどんな次元のとらえ方があるのか気になって検索したところ、トカナの記事を見つけた。
●10次元までの世界を段階的に徹底解説! 6次元で全宇宙にアクセス、7次元でもう1つの宇宙へ…高次元世界のすべて!
2017/11/28 トカナより
5次元:自分のいる世界とは少し違った世界を見ることができる
6次元:この宇宙と同じビッグバンで生まれたすべての世界へ移動できるようになる
7次元:ビッグバン以外で生まれた宇宙にもアクセス可能になる
8次元&9次元:あらゆる可能性の宇宙を見ることができる
10次元:人間の理解を超えたすべての可能性を見ることができる
なんて壮大だ。
そんなバカナと否定するかもしれないが、実際4次元以上の空間がどんな風になっているのかわかっていないのだから、可能性は捨てきれない。
ただどこにあるのかは物理学の理論でその場所が提案されている。
今回は「次元」をイラストにして説明してみようと思う。
まず「次元」とは何か?
wikiには、空間の広がりをあらわす指標と書いてある。
「次元」を「空間の広がり」と定義して、0から3次元までを説明すると、
0次元:点(移動不可な空間)
1次元:線(前後に移動可能な空間)
2次元:面(前後左右に移動可能な空間)
3次元:立体(前後左右上下に移動可能な空間)
と表現できる。
ちなみにwikiには書かれてないが、次元のもつ特徴は他にもあり、
●ある次元の断面は、1つ下の次元になる
例:3次元の断面は面、2次元の断面は線、1次元の断面は点
これは「ある次元の影は、1つ下の次元になる」とも言い換えることができる。
さらに、
●それぞれの次元は直交する(垂直に交わる)
※ただしユークリッド空間(三角形の内角の和が180度の空間、簡単に言えばわれわれが暮らしている曲がっていない空間)という条件付。
では次に、何次元までイラストにするかだ。
このサイトでも何度も紹介しているが、物理学の「超弦理論」では、この世界は10次元だと考えられている。
何度も紹介しているわりには「超弦理論」の概要を詳しく紹介したことがなかったので、この機会に説明してみたい。
※「超弦理論」についてよくご存知の方や小難しいのはスルーという方は、下の▼まで飛ばしてください。
「超弦理論」が生まれたきっかけは、物理学が100年以上に渡って抱えている問題を解決するためだった。
それは「重力」を「量子力学」で説明することだ。
「量子力学」が研究しているミクロの世界では、2つの粒子同士の距離を近づけていくと、近づけば近づけるほど重力が大きくなってしまい、最終的に無限大になって計算不能になる。
これを解決するために考えられたのが、われわれを形作るものの最小単位を粒子のような点ではなく、1本の「ひも(弦)」としてとらえる「超弦理論」だ。
1970年にかの有名な南部博士らが、0次元の「点」ではなく1次元の「ひも」と考えると上手く計算ができるぞ、という「弦理論」を発表したのがはじまりだ。
※まだ「超」はつかない。
しかし弦理論は、理論を成立させるためには26次元という途方もない数の次元が必要で、タキオンという光速を超える仮想粒子も含まれてしまう問題があり、いったん下火になった。
その後1984年にシュワルツ博士とマイケル・グリーン博士が、素粒子はそれぞれにパートナーとなる超対称性粒子をもち、それを組み込むと自然界の4つの力のうち、重力を除く電磁力・強い力・弱い力を(ビッグバン直後のような)エネルギーの高い状態で統一できる可能性があることを発表した。
弦理論に超対称性を加えて26→10次元まで減らしたのが「超弦理論」だ。
※つまり超弦理論の「超」は超対称性の「超」。
それから世界中の物理学者が躍起になって「超弦理論」を研究した結果、なんと「ひもの種類」や「超対称性」の組み合わせによって5つもの理論ができあがってしまった。
けっきょく1995年にプリンストン大学のウィッテン博士により、1次元のひもにさらに1次元を加えて2次元の膜とし、10次元の超弦理論を11次元で考えると5つの超弦理論が1つの理論で統一されるという「M理論」が発表された。
現在ではこの「M理論」やそれを含んだ「超弦理論」が、重力と量子力学を統一することのできる万物理論に最も近いと言われている。
さて「超弦理論」の「ひも(弦)」には「閉じたひも」と「開いたひも」の2種類があり、この宇宙に存在する4つの力のうち「開いたひも」は電磁力と強い力(原子核を結びつける力)と弱い力(原子核を他の原子に変える力)に、「閉じたひも」は重力に相当する。
「閉じたひも」は次元の間を自由に移動できるが、「開いたひも」はブレーンという膜に両端がくっついていて離れることができない。
つまり重力だけが他の力と違って次元を自由に移動できる。
超弦理論の専門家、大栗博士によれば、この「開いたひも」をブレーンにはさまれている「閉じたひもの」一部とすれば、実はどちらも同じ「ひも」ではないかという考え方もある( 「大栗先生の超弦理論入門 」より)。
さて物理学では、われわれの住む4次元時空(3つの空間次元と1つの時間次元)より高次元を「余剰次元」と呼んだりするが、この「余剰次元」を想定した理論は「超弦理論」が誕生するずっと前から存在していた。
例えば1920年代にカルツァ博士とクライン博士が提唱した「カルツァ=クライン理論」では、5次元以上の時空を仮定する。
※「カルツァ=クライン理論」について詳しくは「4次元空間と重力とタイムトラベル」(カルツァ=クライン理論)を参照。
これらの理論では「余剰次元」をわれわれが認識できない理由として、われわれの住む空間の中で、通常の観測手段では見えないほど小さく丸まっていると説明される。
「超弦理論」では次元を10次元ととらえ、10次元のうち4次元時空以外の6次元の空間がコンパクト化されているという。
ちなみにこの「10」という数字は「次元-10」×「問題点」という方程式から導き出される。10次元ならば引くと0になるのでうまく「問題点」が消し去られるのだ。
この小さく丸め込まれた空間を図にしたものが、カラビ・ヤウ空間だ。
さて、それではいよいよ「超弦理論」の10次元をイラストにしてみよう。
イラストの上に並んだ0から9までの数字は空間の数を表している。この数字に「時間」の1次元を加えて、全部で10次元になる。
左から順にそれぞれの次元を説明していくと、
0次元空間:点。このときはまだ空間も時間も存在しない。宇宙誕生以前の世界だ。
1次元空間:線。宇宙のはじまり。ビッグバンが起こり時間が生まれ、前後という1方向だけだが空間が広がった(断面は0次元)。
2次元空間:面。前後・左右の2方向へ移動が可能になる。この2次元はわれわれの宇宙のはるか彼方にある境界「事象の地平面」であり、そこにはわれわれを形作りづくる情報が蓄えれているとも考えられている(断面は1次元)。
※詳しくは「時間と宇宙と運命の法則(2)」(多世界とホログラムと糸)を参照。
3次元空間:立体。われわれの住む世界。前後・左右・上下の3方向に動くことができる(断面は2次元)。
4次元空間:カラビ・ヤウ空間としてわれわれの住む3次元の中に小さく小さく丸め込まれている。その大きさはプランク長(10のマイナス33乗cm)以下とも言われている(断面は3次元)
※どう表現したらいいかわからないので、イラストでは4次元以降の断面を2次元に省略。
5次元空間:4次元に小さく小さく丸め込まれている(断面は4次元)。
6次元空間:5次元に小さく小さく丸め込まれている(断面は5次元)。
7次元空間:6次元に小さく小さく丸め込まれている(断面は6次元)。
8次元空間:7次元に小さく小さく丸め込まれている(断面は7次元)。
9次元空間:8次元に小さく小さく丸め込まれている(断面は8次元)。
つまり4次元以上の高次元でわかっていることは、「どこにあるか?」(1つ前の低次元の中にコンパクト化されていること)と、「断面」(1つ前の次元が影になること)だけなのだ。
高次元と言えば、私はなんとなく空の上を探してしまうが、実際はわれわれの生活している空間や、それこそわれわれの身体の中に小さく小さく丸め込まれているのだ。
この事実を知ったとき、私はなぜか武者震いがした。
逆に空の上、はるか宇宙の彼方には2次元が広がっている。
もしあなたが高次元を見つけたければ、空の上ではなく自分の内側を深く探してほしい。