2019/12/12
※この記事は不思議.netに掲載いただいた「マルチバースの危機! 正の曲率をもつ閉じた宇宙」(3次元時間で解決?)に加筆・修正したものです。
先日、不思議.netに掲載された記事に、とてもショックを受けた。
●【宇宙ヤバイ】宇宙は無限ではなく、まっすぐ行くと元の場所に戻る「有限の閉じた空間」の可能性が出
2019/11/20 不思議.netより
この記事のポイントを整理すると、
欧州宇宙機関(ESA)が2009年に打ち上げた「プランク」は、この宇宙が誕生したビッグバン初期の光「宇宙マイクロ波背景放射(以下CMB)」の観測を目的とした人工衛星だが、2013年にその使命を終え、最後の観測データが「プランクレガシー(プランクの遺産)」として2018年に公開された(以下PL18)。
英マンチェスター大学のエレオノラ・ディ・ヴァレンティーノ博士らによる国際研究チームはこのPL18を解析した結果、われわれの宇宙は信頼度99%以上で「正の曲率」をもつ「閉じた宇宙」だと発表した。
これのどこがショッキングなのか?
不思議.netの記事タイトルにもあるとおり、ほんとうに「宇宙がヤバイ」!
今まで構築されてきた「宇宙論」の危機なのだ。
われわれの宇宙は、これまでさまざまな観測データの結果から「平坦」だとされてきた。
「平坦」、つまりどこまでいっても平らで少しも曲がっていない「曲率0」という意味だ。
ちなみに「曲率0」とはこんな宇宙で 、
三角形の内角を合計するときっちり180度、2本の平行線はどこまでいっても均等な距離を保ち、 「平坦な宇宙」と呼ばれる。
われわれの宇宙は、これまでさまざまな観測データの結果から、この「平坦な宇宙」だとされてきた。
曲がる可能性もあったはずなのに、なぜこんなにも宇宙が平らなのかは「平坦性問題」とされ、「地平線問題」(因果関係をもつはずのない遠く離れた2つの場所のCMBがまったく同じ性質をもつ問題)とあわせて、科学者を悩ませた。
しかし40年ほど前、これらの問題をいっきに解決する画期的な「インフレーション理論」が考案された。
「インフレーション理論」は、宇宙がある1つの極小空間から一瞬のうちに急速膨張したという理論だ。
同じ空間を起点として膨れ上がったのだから、離れた2つの場所から届いた波が同じ性質をもっていても不思議はなく、最初はでこぼこで曲がっていたとしても、想像を絶するスピードで膨れ上がり、平らに引き伸ばされたというのだ。
「インフレーション理論」は、発表されてからずっと世界中の科学者に検証され、観測データによってその正しさが裏付けられてきた代表的な宇宙論だ。
「インフレーション理論」は、さきほどの「曲率0」の平坦な宇宙か、あるいはわずかに「負の曲率」の宇宙でも成立する。
「負の曲率」でよく使われるのはこのような馬の鞍型で、
人が乗るちょうどへこんだ部分の曲率が負になっているが、
このような反り返った図の方がわかりやすいかもしれない。
「負の曲率」の宇宙は「開いた宇宙」と呼ばれ、「開いた」という表現どおり端がなくどこまでも広がっていく。
「開いた宇宙」では三角形の内角の和は180度よりも小さくなり、2本の平行線の距離はどんどん広がる。
「インフレーション理論」では、平らに引き伸ばされて現在のような宇宙になったのだから、「平坦な宇宙」か、あるいは少しだけ開いていてもよい。
※ただし開きすぎると宇宙がとても速く膨張してしまい、恒星や銀河が形成される時間がなくなるので、曲率は極力0に近い方がよい。
しかし「正の曲率」ではまずいのだ。
何がまずいのか?
それでは「正の曲率」をもつ宇宙を見てみよう。
地球を出発したロケットが宇宙をまっすぐに進んでいくと、いつの間にか元の地球に戻ってしまう、球体の表面のような「閉じた宇宙」だ。
「閉じた宇宙」では三角形の内角を合計すると180度より大きくなり、2本の平行線はいずれどこかで交差する。
さて「正の曲率」の宇宙では、誕生した瞬間あっという間に閉じて、膨張することができずつぶれてしまう。
閉じてつぶれてしまうはずなのに、この宇宙は存在している。
これでは「なぜ現在の宇宙がこんな姿なのか」を説明するために科学者が築き上げてきた「インフレーション理論」と矛盾してしまう、だから「まずい」のだ。
それでは国際研究チームがPL18の解析データから導き出した「われわれの宇宙は球のように閉じている」という仮説が間違っているのか?
確かにわれわれの住む地球上では三角形の内角の和は180度で、平行線はどこまでも平行じゃないか。
だがそれは、あくまで地球やその周囲で計測したときの話だ。
銀河やそれ以上の広大な距離で計測すると、実はわずかに曲がっているかもしれない。
人類はそのような宇宙規模の距離で宇宙を計測したことがないので、まだわからないのだ。
「正の曲率」を示すデータは今はまだPL18だけだが、将来他にも「閉じた宇宙」を示すデータが出てきたとき、われわれはまったく新しい宇宙論を発明する必要に迫られる。
宇宙が「正の曲率」をもつならば、私(BTTP)のサイトのテーマである「タイムトラベル」にとっても大きな脅威だ。
タイムトラベルの代表的なパラドックス「親殺しのパラドックス」を避けることのできる理論として、私は、われわれの宇宙とよく似ているが時間軸の異なるマルチバース(並行宇宙)を利用したタイムトラベルを提案している。
※宇宙Aと宇宙Bはとてもよく似ているが、宇宙Aは宇宙Bの100年前に誕生しており、それぞれの宇宙に流れる時間は100年ずれているとする。
何らかの方法で宇宙Aから宇宙Bに移動することができれば、100年前の世界に移動したことになる。
このマルチバース型タイムトラベルが成立するには、この宇宙以外にもわれわれと同じような並行宇宙がたくさんあることが前提だ。
20世紀にはSFだとされてきた「マルチバース」のアイデアは、先ほどのインフレーション理論の発展にともない、ホーキング博士をはじめとする多くの物理学者に支持されてきた。
例えばカリフォルニア大学バークレー校の物理学者、野村泰紀教授は「量子マルチバース」を研究している。
●【参考】「パラレルワールドはあります!(3)」(量子マルチバースの展望)
野村教授はこの量子マルチバースが観測によって実証可能だと提言するが、この宇宙が「負の曲率」を持つことが条件だ。
野村教授は先ほどの「インフレーション理論」から「量子マルチバース」を導き出した。
「インフレーション」で宇宙が膨張するイメージは、沸騰するお湯の泡に近い。
泡と泡の間にある空間は、泡自体が膨らむ速度よりも速く広がってしまう。
泡同士がぶつかれば、そのエネルギーがビッグバンを引き起こす引き金になるのだが、泡自体が膨らむスピードよりもその間の空間がひきのばされるスピードの方が速いと、いつまでたってもインフレーションがとまらない。
この永遠に続くインフレーションを「永久インフレーション」と呼ぶ。
沸騰するお湯の泡ならぶつかってはじけて消えてしまうこともあるが、永久インフレーションで誕生する泡宇宙は無限に増えていく。
この増殖する宇宙が「マルチバース(多元宇宙)」になるのだ。
この宇宙が曲率0の平坦でも問題ないが、「量子マルチバース」は「インフレーション理論」から導き出されたので、「正の曲率」ならば否定されてしまう。
以上のように今回のPL18の解析結果は、宇宙論、そしてマルチバースにとっての大いなる危機なのだ。
しかし正の曲率をもつ「閉じた宇宙」のイラストを見ていて、ふと気づいた。
3次元の球に宇宙がはり付いた図、これ、以前にどこかで見たような・・・
・・・
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タピオカ理論?
「タピオカ理論」とは、ネット掲示板(現在の5ちゃんねる)に登場した、2062年の未来からやって来たという未来人「ライオネル(通称レオ)氏」が語った独自のタイムトラベル理論だ。
Back to the past
正の曲率をもつ「閉じた宇宙」が正しいのなら、「閉じた4次元空間」の中にわれわれの3次元宇宙が存在していることになるが、そもそも「閉じた4次元空間」がどんなものか想像ができない。
しかし「時間」を閉じた3次元の球ととらえ、その時間球の表面にわれわれの宇宙がはり付いているというのなら、なんとなく下記のようにイメージできる。
これが、レオ氏が語ったタピオカ理論の「3次元時間」のアイデアだ。
ちなみにタピオカ理論では、静止宇宙(外側の宇宙)に浮かぶ無数のタピオカ(3次元の時間球)同士がぶつかることによって
動的宇宙(我々の宇宙)が増えていく。
※この現象はわれわれの世界でのビッグバンに相当する。
さて、今回のPL18の解析結果で正の曲率をもつCMBのデータが示されたが、時間を3次元球と考え、われわれの宇宙空間がその表面にはり付いているのなら、138億年前に放たれたCMBが3次元の時間の表面に沿って湾曲しているので、CMBが正の曲率をもつ理由になる。
簡単に数式で解説すると、
光円錐の方程式は、X、Y、Zの3つの空間座標間と1つの時間座標tで表す4次元時空において、光速度をCとすると、
X2 +Y2 + Z2 = C2 t2
である。
注目したいのは、C2 がPL18の観測データとして「正の曲率」をもつとき、左辺と等しくなるためには、右辺のt2 が正の曲率をもてばよい。
さて、1次元の時間tを3次元の時間(3つの時間座標t1、t 2、t3)にして上の式に組み込むと、
X2 + Y2 + Z2 = C2 (t12 + t22 + t32 )
となる。ここで
t12 + t22 + t32 = r2
と表せば、これは半径rの球面の方程式となり、
球面、つまり3次元時間は「正の曲率」をもつ。
しかし「時間」が「3次元」だという証拠を示す新たな物理学の構築が必要となる。
3次元の時間を研究している科学者は世界的にも珍しいが、私のサイトでも、
ロシアのチェルノブロフ博士
●「時空を歪める霧の謎(4)(チェルノブロフのタイムマシン)」
2016/12/5 Back to the past
スコットランドのコール博士
2017/1/10 Back to the past
2017/1/10 Back to the past
を紹介しているので、参照いただきたい。
ところでレオ氏は不思議な予言を残している。
以前(2017年)に不思議.netに掲載いただいた記事
2017/11/5 不思議.netより
で書いたが、「2020年までにタピオカ理論の証拠となる事実が明るみになる」という。
2020年まで残すところあとわずかだが、今回のプランク衛星の観測データによる「正の曲率」の発見をきっかけに、宇宙論の新たなパラダイムがはじまるとしたら・・・。
記憶の彼方ですかっり埃をかぶっていた「タピオカ理論」だが、今年のタピオカブームにあやかって、もう一度見直してみたい。
残念ながらレオ氏は、ネット上で知り合ったメンバー数名とタピオカ理論を考察していた途中で突然未来に帰ってしまい、そこから2年以上コンタクトが取れていない。
最後にせっかくなので、当時レオ氏から教わった「現在の日本のどこかに存在する」という「タイムマシン」のイラストを公開しよう。
※ずっと私のPCの中で眠らせておくのも忍びない・・・。
2年前の記事、
●「未来人からタイムトラベルの方法を教えてもらった話」(2017版タピオカ理論の考察)
2017/11/5 Back to the past
で公開したイラストは、レオ氏のタイムマシンの一部だった。
これは光のエネルギーを高めるための装置で、タイムマシン全体はこのような姿だ。
このタイムマシンは「ウニ型」と呼ばれる。
この世界の光には質量はないが、レオ氏によると、光は静止宇宙(外側の宇宙)では質量を持つという。
何らかの方法で光に質量を持たすことができれば、静止宇宙の光と同質になり、宇宙の外側への扉が開かれる。
上部の5本のトゲ装置で光のエネルギーを高め、集めた光をミラーで反射させてさらに高め、最終的に1点に収束させ、フルパワーになった光は、静止宇宙(外側の宇宙)のように100%に近い質量をもつ。
この状態で時空が歪み、光の扉が出現する。
未来(または過去)で、送りたい物体を解析して情報を取り出し、情報を乗せた粒子を静止宇宙(外側の宇宙)経由でこの時代の「ウニ型」タイムマシンに送る。
送られた情報をこの「ウニ型」タイムマシンが受信すると、下部の四方から粒子が発射されて回転しながら、受信した情報から未来(または過去)の物体を再構築する。
・・・というような仕組みだったと思う。
※2年前なので記憶が定かでなく申し訳ない。
今回の記事が呼び水となり、
「おいおい! 何かってに公開してるんだ!」
と怒ったレオ氏が再びネット上に現れないだろうか?(笑)