●「タイムリープは不幸を招く?(ニーチェ的永遠回帰世界)」

2017/2/10

 

人生は繰り返すイメージ

私はまったく哲学に詳しくないのだが、2月2日に掲載された不思議.netの記事に興味をもった。

 

●ニーチェの永劫回帰怖過ぎワロタ・・・

2017年2月2日、不思議.netより

 

というのも、去年掲載された次の記事を思い出したからだ。

 

●「多分だけど俺が死ぬまでの夢を見ていたんだと思う『夢の中で80歳まで生きた話』

2016年9月8日、不思議より(2015年9月の再掲記事)

 

そのとき20歳のスレ主は、一晩の夢で80歳までの人生をいっきに経験したらしい。

 

 

この記事を読んだ当時、私は軽いショックを受けたのを覚えている。

スレ主は悩んでいた。

 

あまりにも夢で見た人生がリアルで、詳しくは語っていないが大学を卒業し、普通に就職して結婚し、年をとって両親を見送り、そして80歳で肺がんで死んだという。

  

だがベッドで目覚めると、見送ったはずの両親は生きており、名前に覚えのない人物から電話がかかってくる。今は20歳の大学生だが、外の景色を見るのも怖くて、大学に通うこともできず、その出来事が起こってからすでに1週間が経過していたが、 部屋に引きこもったままだ。

このまま引きこもりを続けると、「夢で見たのと同じようには人生を送れない」ことが恐怖だという。

 

このサイトでも「もっともお手軽な過去を変える方法」として「夢の中でのタイムリープ」を紹介しているが、「未来の出来事を垣間見て、それを参考として今を生きていく」といういわゆる「強くてニューゲーム(ゲームなどでクリア後に、装備が整った強い状態でもう一度最初からゲームをはじめること)」は、すべての人の人生を幸せにはしてくれないらしい。

 

記事を読んだ頃(2016年9月)は、タイムマシンなどを使わないお手軽な過去を変える方法として、「夢の中で未来のパラレルワールドを見て、その記憶をもったまま目覚め、それを参考にこれからの現実を生きてく」という一種の予知夢を見ることが、人がこれから人生を生きていく上でとても役に立つ方法だと信じていたので、それに満足いかないのはこのスレ主に限ったことだろうと思ったりもした。

 

実際このスレを読んでいくと、同じように別の人生を夢で体験して20歳に戻ってきたという人も登場しているが、この人はその体験を好意的にとらえている。

 

しかし今(2017年2月)、タピオカ理論町田の壁抜け少女の話を考察してみて、今、思うところがある。

 

私という人間はこの世界にたった一人だと思いこんでいるが、パラレルワールドにはその数だけ私がいて、同じような人生を過ごしているのではないか? 

 

最初に戻って「永劫回帰」をwikiで調べると、ドイツ人の哲学者ニーチェの思想で、一般的な経験が一回限り繰り返されるという世界観ではなく、超人的な意思によってある瞬間とまったく同じ瞬間を次々に、永劫的に繰り返すことを確立するという思想という。

 

難しい・・・超人ってなんだ?

 

もっとわかりやすい表現はないかといろいろ調べて、なんとなく自分の中で導き出した答えが、

 

西洋のキリスト教的な「死んだら天国か地獄に行く。人生は1度きり」という思想に対し、永劫回帰は、人生は何度も繰り返すという考え方。

 

仏教の輪廻転生と似ているが、輪廻転生は魂がいろんな人に生まれ変わってさまざまな人生を経験するのに対し、永劫回帰は、今まで自分の生きてきた人生をそっくりそのまま、何度も繰り返し、それが無限に続く。

 

自分が経験してきたうれしいことも辛いことも全部、ビデオの再生を繰り返すように人生が何度も繰り返される。

 

幸せな出来事を繰り返すのはウェルカムだが、悲しいことまで繰り返えすなんてひどいじゃないか、しかも「変化のないまったく同じ人生なんて、ある意味地獄じゃん」と思ったが、ニーチェに言わせると、「うれしいことも辛いことも含めて何回でもこの人生を繰り返し、それでもぜんぜんOK!」と悟ったとき、人は何をも恐れない超人になれるという(超人ってそういう意味か・・・)。

※哲学に詳しい方、おかしいところがあればぜひこちらまでご指摘ください。

 

 

このサイト的に「時間」という観点から説明すると、一般的に時間は未来という一方向に向かって進む直線的なものだが、ニーチェの永劫回帰では、時間は円を描いて循環するものだと表現できる。

 

物理学の理論だと、ケンブリッジ大学のニール・テュロック博士らが提唱している宇宙同士の衝突が何度も起こり、宇宙は膨張と収縮を繰り返しているというサイクリック宇宙論のようだ。

 

ただしサイクリック宇宙論ではビッグバンではじまった膨張がやがて収縮に転じ(ビッグクランチ)、高密度の状態まで縮まった宇宙は重力が斥力に変化し、大きな反発(ビッグバウンス)が起こって再びビッグバンがはじまるという、それこそ宇宙規模の超ロングスパンだ。

 

人の人生の長さを基準に考えるニーチェの永劫回帰とはちょっと違う。

 

むしろパラレルワールドにいる同じ自分たちが(どれくらいの数いるかわからないが)、ほぼ同じ人生(その世界の歴史によっては戦争中だとかまったく違っているかもしれないが)を繰り返しているという考え方と符合する。

 

前回の「UFOと謎の黒い男たち(2)(哲学的ゾンビ)」で、台風で氾濫した川に落ちて違う世界からこっちの世界にやってきたという女性の話を紹介したが、彼女も新しい人生になじめず、もとの世界に戻る方法を探していた。

このスレでは同じ体験を持つ人が次々と現れ、みなできることならもとの世界に戻りたいと語っている。

 

やはりタイムリープで過去をやり直すことが、すべての人を幸せにするわけではないらしい。

 

今の人生を「何度繰り返してもOK!」と思えるぐらい、大切に生きること。ニーチェの言うとおり、それが本当に大事なことかもしれない。

 

でもこのサイトは、これからもやっぱり「過去に戻る方法」を探していくぞ!