●「6次元理論(2)(3次元時間+3次元空間)」

2017/1/20

2019/6/29追記(赤字の箇所)

 

3次元時間イメージ

前回の「コール博士の6次元理論」の続き。

 

コール博士6次元理論とは、簡単にいえば、3つの空間次元に3つの時間次元を加えたものである。

 

もともと私が「3次元の時間」という考えに興味をもったきっかけは、物理学者が予測する「ブラックホールの事象の地平面の内側では、時間と空間の役割が入れ替わる」という考え方だった。

 

単純な私は3次元の空間が1次元の時間と入れ替わるのは、何かつじつまが合わない・・・3次元の空間座標(x,y,z)が1次元の時間座標(t)と入れ替わるよりも、3つの空間座標(x,y,z)が3つの時間座標(t1,t2,t3)とそれぞれ入れ替わる方が自然だと思ったからだ。

 

 

それではコール博士のサイト

 ●「3つの時間次元とはどんなものか?」の翻訳を続けよう。

(このサイトがUPされたのは2012年頃ですが、残念ながら現在リンク切れです)

 

 

 ●「3次元時間の仮定」

・粒子は6次元時空の中ではまっすぐな世界線のように見える。

 

・6次元理論は6つの座標(3つの空間座標x、y、zと3つの時間座標(T 1、T 2、T 3)で記述される。

 

・観測者が粒子を観測するとき、時間の余剰空間の世界線として軌道が形成され、この軌道は世界線の方向としてみなされる。

 

・観測者が時間方向を測定するとき、3つの時間方向は線形独立している。つまり1つの時間方向は、他の2つの方向から形成された平面にはない。

※3つの時間方向は直交している。

 

・3つの時間方向に優位性はなく、それぞれ平等である。

 

・粒子の速度は、時間軌道に沿って増加した時間の空間的変化率である。

 

・真空中の光の速度cは、すべての観測者に対して一定である。 粒子速度はこの光速度を超えることはできない。

 

・6次元理論におけるニュートンの運動の第一法則:粒子は静止したままか、あるいは時空の直線軌道を一定の速度で移動する。

 

・6次元理論の慣性系は、ユークリッドな空間上で、それぞれの系のポイントでそれぞれの時間方向に世界時間が存在する。ニュートンの運動の第一法則は、各粒子の速度が、粒子が従う時間軌道に沿った世界時間を用いて測定されるときに成り立つ。 

 

・2つの慣性系の間で時空間変換方程式を決定するためには、各観測者は、自身の時間方向、および他の観測者の時間方向および速度に関する情報を使用しなければならない。

 

・エネルギーはベクトル量である。 粒子のエネルギーは、その時間軌道に沿った方向である(通常の4次元理論ではエネルギーはスカラー量)。

 

・観測者にとって、時間方向が正/負の成分を有する場合、実体は粒子/反粒子である。

 

・最初と最後の概念は、観測者に依存する。

実体が粒子の衝突または崩壊で相互作用する場合、実体は、最初の粒子、最後の粒子、最初の反粒子または最後の反粒子として分類できる。 この分類は、実体の時間方向が相互領域に出入りするかどうか、および実体の時間方向の成分が観測者の時間方向に沿って正か負かに依存する。

 

具体的には、

 

 ・entering and positive・・・最初の粒子

 ・entering and negative・・・最後の反粒子

 ・leaving and positive・・・最後の粒子

 ・leaving and negative・・・最初の反粒子 

 

 

●「3次元時間の予測」

この節では「なぜ時間が1次元であるように見えるか」、「粒子がどのようにして消えたように見えるのか」、その結果として「粒子が光の速度よりも速く移動するように見えることがある」という6次元理論の主な3つの予測を説明する。

 

(1)なぜ時間が1次元であるように見えるか?

私たちが日々の生活のなかで3つの時間次元に気付くことができない理由は、日常的な物体の時間方向を変えるためには膨大なエネルギーを必要とするためである。

6次元理論では、物体のエネルギーは、時間方向にそったまっすぐなベクトル量になるので、物体の時間方向を変ようとすれば、そのエネルギーの方向を変えなければならない。これを行うためにどれくらいのエネルギーを供給する必要があるかを正確に分析している。

 

・物体が質量mを持っていると仮定すると、もし私たちが角度Aにその時間方向を変えたいならば、私たちは少なくとも 2mc²sin(A/2) の大きさのエネルギーを供給する必要がある(cは真空中光の速度)。

 

・例えば物体が1kgの質量を持っており、私たちが1度だけ時間方向を変えたいならば、供給しなければならないエネルギーの大きさは、少なくとも1.57x1015ジュールである。これはおよそ広島型原子爆弾の29個分のエネルギー放出量に相当する。

このエネルギーは日常的なスケールでは利用できず、たとえ利用できたとしても、そのようなエネルギーに対して物体が無傷のままでいるのは難しいだろう。

 

・しかし、同じ角度Aに電子の時間方向を変えるのに必要なエネルギーの大きさは、1.43x10-15ジュールだけであり、量子の時間ベクトルを変えるのに必要なエネルギーはたやすく利用できる。

 

・約1度、ある粒子の時間方向を変えるために必要なエネルギーの大きさは、約1014倍である。それは時速80キロで移動するのに必要な量だと計算できる。

 

 

(2)粒子がどのようにして消えたように見えるのか?

4次元理論にはない6次元理論の予測は、物体が観測者の視界から消えるように見えることである。 この現象は6次元が4次元よりもより豊かな時空構造をもつために生じる。

 

4次元理論の時空座標は3つの空間座標x、y、zと1つの時間座標tである。 

 

観測者にとって、空間座標の原点になるのは、光円錐の方程式

 

 ×² + Y² + Z² = C² t²

 

であり、粒子の世界線は常に観測者の光円錐と交差しているように示される。つまり、粒子は常に見えている。 

 

しかし6次元理論では、x、y、zの3つの空間座標間とT 1、T 2、T 3の3つの時間座標をもっており、対応する光面は次の式で与えらる。

 

 ×² + Y² + Z² = C²(t1² + t2² + t3²)

 

それはすなわち、

 

・ある状況では、粒子の世界線が一般的な光面と、これ以上交差しなくなることがある。つまり、粒子から観測者へ光が到達することはできなくなり、観測者の視界から消えてしまう。

 

・これを実現するための条件:vは 、観測者に対する粒子の相対速度であり、そしてAが粒子の時間方向と観測者との間の角度であるならば、次の場合に粒子は観測者から見えなくなる。

 

 v / c < sin(A)

※ただし(4次元理論においてA = 0の場合、この条件は適用されないことに注意)

 

・この消失状態を利用して、観測者が見ることのできない物質は、観測者が見ることのできる物質の挙動に影響を与えることができると示される。 速度vに対して宇宙の分布関数におけるモデルは、ダークマターの割合を最大85%と予測する。 

 

4次元理論では、粒子に光信号を送り、粒子からの反射を受けて粒子の速度を決定することができる。 6次元理論でも、同じような方法を使って、粒子の速度と時間方向を決定することができる。

 

 

(3)粒子が光の速度よりも速く移動するように見えることがある

2011年9月下旬、ジュネーブ近くのCERNで生成されたニュートリノは、イタリアのGran SassoでOPERA(Oscillation Project with Emulsion tRacking Apparatus)の検出器で受け取られた。

ニュートリノは、約730キロの距離を旅し、光の速度cを超える速度で飛んだように見えた。 ニュートリノの飛行時間は、同じ距離を光が移動したとしてかかる時間57.8ナノ秒よりも少なかった。

しかしこの発見は、実験装置の欠陥に起因することが判明した。

 

ニュートリノは光の速度よりも速く進むことはできないが、今後もし、今回の実験のような超光速現象が記録されたならば、6次元理論によってそれを説明することができる。

 

・放出された粒子は、光源を離れて観測者の時間経路とは異なる経路を通り、検出器で再び観測者の時間経路に再び結合される。

 

・これは、光源と検出器の間のある点で一種のレンズ作用を必要とする。このレンズは空間内に局在するが、時間の余剰空間を広げる。

 

・このような実験の状況では、6次元理論は1/e²(eは粒子エネルギーの大きさ)にたいする量dtのプロットとしてそれを予測し、直線を生み出すはずである。

 

・そのような直線が実際に見つかった場合、これは6次元理論を立証する上で非常に有用だ。さらにこの直線の傾きから取った情報を用いて、粒子の質量を計算することができる。 

 

 

OPERA実験の結果が最初に世に出てきたとき、4次元理論における「エネルギーと質量」との関係の崩壊について、科学界はとても心を痛めた。

ここで、6次元理論は、相対論的な「エネルギーと質量」との関係を維持しながら、ベクトル形態であるにもかかわらず、観測される見かけ上の超光速を許す。

 

 

ディラックの方程式は、6次元理論の記述に拡張することができる。

 

4次元理論でのディラック方程式は、4成分波関数の1次微分方程式であり、4つの時空座標に対する微分係数は、ある種の非干渉関係に従わなければならない4×4行列である。 これにより、関数は、スピン1/2の粒子の記述に必要な多成分量になる。 反交換関係は、スピンのない相対的な粒子に対するクライン・ゴードン方程式が、特別な場合として回収されることを保証する。

 

6次元理論で拡張されたディラック方程式は結果として、6次元時空座標について今、再び一次微分方程式となる。 

それは次のように示される。

 

・波動関数は8成分関数となり、微係数は8x8行列になる。

 

・スピンは今、時間部分空間に存在できる。 

 

新しい電磁場は、拡張された時間座標に関してとることのできる拡張された誘導体(派生物)として、6次元理論で定義することができる。

 

・4次元理論のベクトルとスカラーポテンシャル(電位)は2つのベクトル場aとbに置き換えられる。

 

・3成分の磁場Bは保持されるが、3成分の電場は新しい9成分場Eによって置き換えられる。

 

・全く新しい3成分場Wは、時間部分空間内で定義される。 

 

これらの新しい場のふるまいには、2つの主な重要性がある。

 

・これらの場の影響を受けて移動する荷電粒子について、運動方程式を見つけることができる。 

この粒子と観測者は異なる時間ベクトルを持つことができ、これは電荷の(正負の)有効性を変える効果がある。

同様に観測者の時間ベクトルとは異なる時間ベクトルを有する移動電荷は、電荷が通過するときに観測者に邪魔にならない場に変化を生じさせる。

 

・4次元理論に戻って、3成分の電場と磁場の間の明らかな対称性は、対称性をさらに完成させるために、マクスウェルの電磁方程式に磁気モノポール項の導入をもたらした。

 

6次元理論的では、対称性は、もはや3成分の磁場Bと新しい9成分電場Eとの間にはなく、Bと新しい3成分場Wにある。したがって方程式にモノポール項を導入することによって、対称性を完成させる必要はない。 

 

 

4次元理論における一般相対性理論は、大きな重力質量下での時空の歪みを説明する。

6次元理論は特殊相対性理論の拡張に関連しているが、一般相対性理論は6次元理論の文脈で研究することもできる。

 

それが示すことは、

 

・弱い時間-つまり独立した重力場の存在下で、小さな速度の近似値を用いて、自由落下する粒子の時間軌跡は直線である。しかし、宇宙の無慈悲な領域では、粒子時間軌道はより簡単に変わるはずである。

 

・虚空間におけるアインシュタインの場の方程式の解は、解が空間座標および時間座標の両方において球対称である場合に見出された。しかし、私(コール博士)は時間座標において円筒対称性を含む解がよりふさわしいと信じている。 私はまだこの解を見つけていない。 

 

 

さて、あなたがこれを読みこんだならば抱くにちがいない、疑念と懸念のリストを以下に記載する。

 

・この理論は、時間ベクトルが既に変更された粒子に適用される状況を記述してきた。指定された時間方向にどのように粒子を準備するかは記述していない。

 

・あるフレーム内で異なる空間位置におかれた時計は、時計と、異なる時間方向と、フレーム内の空間的原点において、同期できることが示されている。

しかしどのようにしてこれらの3つの時計が必要な時間方向を準備することができるのか説を明していない。

 

・私たちには、すべての時間ベクトルが一方向に同期されている宇宙に生きているように見えている。この同期はどのように行われるのか? 私たちが気づいていない他の同期があるのか? もしそうなら、どうすればそれらと相互干渉ができるか?

 

・新しい電磁場が6次元理論においてどのように定義されるかを記述したが、3成分の磁場から分かれて、新しい9成分の電場Eと3成分場Wを生み出す方法を記述していない。おそらく異なる時間方向の粒子が通過する特殊なケースで生み出される可能性があるが、どのようにしてこの粒子を準備するかという問題はまだ残っている。

 

・この理論によれば、異なるランダムな時間軸の軌道を有する粒子は、衝突および崩壊において生成される可能性がある。新しい電磁場を使用して、特定の時間軌道で粒子をフィルタリングして保持することはできるのか?  もしそうなら、私たちが集めた粒子をどのように利用できるか?

 

・量子的な粒子の時間軌道は、日常的な粒子の軌道よりもずっと簡単に変化させることができる。なぜなら量子的な粒子の質量がとても小さいからだ。

私は量子効果と異なる時間方向の動きとの間に密接な関連があると思う。 例えば、時間の余剰空間内の管と粒子を関連付けることはできるのか? この管の直径は粒子の質量と密接に関連しているのか?  しかしこの問題を証明することはできていない。 

 

 

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以上、後半ほとんど直訳で、もっとわかりやすくまとめたかったが私(BTTP)の物理の知識不足が災いし、非常にわかりにくくなって申し訳ない。

 

でも、みなさんはコール博士のこの理論、どう感じただろうか?

 

前回もご紹介しているが、6次元理論のより専門的な(数式がいっぱいの)論文が読みたいというチャレンジャーな方は、こちらからpdfが閲覧可能だ。

(現在は残念ながらリンク切れで読むことができません。「Six dimensional relativity」という関連の論文は、ResearchGateという研究者向けのサイトのこのページで読むことができます。)

 

今回はいままでのタイムトラベルPICKUP!のなかで一番小難しいものになってしまった。

 

正直つかれたので、次回はもうちょっと軽めの話題にしたい・・・。