●「世界で最初にタイムマシンをつくりそうな男」(マレットのタイムマシン)

2016/7/23

 

不思議ネットの7月16日の記事に「タイムマシンは理論的に可能」というタイトルの記事がのった。

大胆にも「理論的に可能」と断言しているので気になって読んでみると、コネチカット大学でロナルド・L・マレット教授が行っている高出力レーザーを用いたタイムマシン実験がテーマだった。

マレット教授の理論についてはニコニコ大百科の「タイムトラベル11の理論」(Steins;Gateの宣伝?)で紹介されていたので、ちらっとは見たことはあったがこの機会に詳しく調べてみた。

マレット教授は彼の著書「タイム・トラベラー/タイム・マシンの方程式を発見した物理学者の記録」によると、2003年にタイムマシンのアイデアを米特許局に申請し、なんと出願が認められている。


マレットの理論は一般相対性理論から導かれる。
強い重力があると時空が曲がり重力レンズ効果で光も曲がることが知られているが、逆の作用で曲がった光はまわりの時空をゆがめる。光自体に質量はないがエネルギーはあるので、そのエネルギーを積み上げていけば時空がゆがめられ、擬似的なブラックホールを形成し、その境界面にそって情報をのせた粒子を放り込めば、情報を未来から過去へ送信することができるという。

具体的な方法は下の図を見てほしい。強力なレーザー光線がミラーに反射され、ぐるっと1周回ってループし続ける装置をつくる。その装置をたくさん積みかさねていけばその周囲の時空がゆがめられ、CTC(時間が輪のように閉じた状態)をつくることが可能だそうだ。

マレットのタイムトラベル理論の図

 

さてマレット教授によるとすでに基礎的な実験は開始されており、今世紀中にも過去へ信号を送信するタイムマシンができそうだとのこと。

ただこのタイムマシンには一つ欠点があり、他の多くのタイムトラベル理論が抱える課題と同様、このマシンが完成する前の時間には戻れない。

また不思議ネットからリンクされているpdfを見ると、元の記事は2000年に書かれたものであり、現在実験がどこまで進んでいるかわからない。

だからマレット教授の自身の公式サイト(英語)を見てみた。

う~ん、どうも「Space-Time Twisting by Light」というプロジェクトがタイムトラベル実験らしいが、現状がどうなっているのかよくわからない。

そこでマレットの実験について他の記事を調べたところ、「世界で最初にタイムマシンをつくるのにより近い人物」として紹介されている2015年の記事を見つけた。

この記事によると、すでにマレット教授は69歳の高齢で、しかも本格的な実験を進めるためには25万ドルほどかかるらしい(資金のめどはまだついてなさそう)。

他の物理学者の意見として、ホログラフィー理論を考察するのに参考にさせてもらったコロンビア大学のブライアン・グリーン教授は「マレットのタイムマシンは理論的には可能かもしれないが、実際に我々が住む宇宙で実現させるのは難しい」と述べている。

いずれにしても革新的な科学の進歩がない限り、まだまだ時間はかかりそだ。

ここで一つ気になったことが・・・

最初の不思議ネットにこんな意見がのっていた。

「(未来でマレットの実験が)成功したのなら今現在に未来の情報が届いてるということか」※一部コメントを補足

「同じマシンから送信された未来からの信号を受信すれば、(完璧なタイムマシンの完成が)もっと早くならないか?」※一部コメントを補足

「あーそれとも届いちゃいるけど現在の技術じゃその未来からの情報が”見えない”とかか」


仮に未来の世界でマレットのタイムマシンが完成したとする。そこから技術的な情報をのせて過去に信号を送り、現在のマレットの装置でその信号をうまく受信することができれば、その技術情報を利用して、予想よりももっと早く完璧に作動するタイムマシンを完成することができそうだ。そればかりか、過去へのタイムトラベルの課題である「タイムマシンが完成する前の時間へ戻る」ことも未来の進んだ技術を駆使すれば、解決できるかもしれない。

「ネットを騒がす未来人の正体とは?」で紹介したシンギュラリティを迎えたAIならば、その可能性も十分にありそうだ。