●「未来人『塚本』」（現代人への警告）
2023/9/9
今回は、未来人とファミレスで出会い、未来を予知する機械をもらった話を紹介する。
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未来人との出会い
今回の話は2008年7月5日、ネット掲示板の2ちゃんねるに投稿された。
※リンク先の227が最初の投稿。
書き込んだ投稿者を、当時の掲示板のハンドルネームで「235氏」と呼ぶ。
235氏が未来人と出会ったのは、2008年4月20日、日曜日の昼前。
ちなみに2008年と言えば、異世界にまぎれこんだ人が出会う謎の男性「時空のおっさん」や、いろいろな未来人が2ちゃんねるに登場して盛り上がっていたころだ。
数日前から235氏の携帯電話に非通知の電話がかかって、すぐに切れることが何回かあった。
そしてついに「今未来からアクセスしています。どこかで会えませんか？」とメールが送られてきた。
とてもうさんくさいが、235氏はそのとき暇だった。
たまたま目の前にファミレスがあったので「いますぐ〇〇というファミレスに来い！ 目印は……」と返信した。
来たらネタになるし、来なかったらファミレスで休憩しようと軽い気持ちだった。
お店に入といきなり「〇〇さんですよね？」と知らない男に声をかけられた。
見た目は30歳前後。黒っぽいスーツに青いネクタイをしていた。
顔はジャパネットたかたの塚本慎太郎さんに似ていた。
雰囲気がただものじゃなく、訛りもなく、アナウンサーみたいなしゃべり方だった。
でも「ニート」や「フリーター」など、一部通じない言葉があった。
この人物をこれから「塚本氏」と呼ぶ。
235氏は塚本氏となぜか知り合いのような気がして、2人で自然に席に座った。
そのファミレスは和食系で、塚本氏は刺身を食べると涙を流しながら「おいしい」と言った。
塚本氏によると、2040年代には魚や肉の刺身がほとんど食べられなくなるそうだ。
理由を聞いても「これは言えない」と断られた。
しつこくたずねると、2010年ごろから生の食べ物はなるべく食べないほうがいいと言われた。
ちなみに「魚が食べられなくなる」というのは他の未来人も発言している。
たとえば日本で最も有名な未来人2062は、2010年11月14日の投稿で「海洋生物がほぼ食べられなくなる」と言っている。
電車で2050年にタイムスリップして、ジャニーズの混乱を予言していたバンギャルも、「天然ものは食べちゃいけない。特に魚系は」と言っている。
未来人の目的
実は塚本氏がこの時代にやってきた目的の1つは「刺身」を食べることだった。
塚本氏の母親がよく「子供の頃は刺身なんていくらでも食べられた」と語り、亡くなるときに「魚のお刺身が食べたい」ともらしたそうだ。
だから刺身に特別な思い入れがあったのかもしれない。
現代に来た理由は単なる旅行で、未来では、食べられなくなった物を食べるグルメツアーや廃墟になった観光地を巡るツアーが流行っている。
だから現代のグルメスポットや観光地には、未来人がまぎれこんでいるはずだと……。
ただし集団で来ることはなく、ほとんどが1人。
どことなく挙動不審でキョロキョロしている人を見かけたら、未来人かもしれないそうだ。
タイムトラベルの仕組み
塚本氏が235氏にコンタクトしてきた理由は「タイムトラベルには人と人との縁をたどる必要があり、235氏はずっと先の未来で塚本氏と出会う」からだという。
そのとき235氏はヨボヨボのおじいさんで、子供の塚本氏は散歩する235氏によくじゃれていた。
ちなみに縁と言っても、お互いに相手の存在を認識するぐらいの仲でないとだめで、縁が一定の水準を越えないとタイムトラベルの座標確定には使えない。
縁無しでタイムトラベルすると狙った時代には行けず、時間的迷子になる。
235氏は塚本氏にとって、この時代で刺身を食べるために縁のある、ただ1人の人物だった。
塚本氏いわく、人は個人個人が自分だけの時間を持っていて、空間だけを他人と共有している。
われわれは過去、現在、未来が川のように上流から下流へ流れていくと思っているが、実際は過去、現在、未来がドカッと1カ所に置いてあるイメージ。
アインシュタイン博士の相対性理論にもとづき、時間は空間の1つの方向で「過去・現在・未来」は同じ空間の中に同時に存在するという「ブロック宇宙論」と似ている。
時間と縁の関係を、塚本氏は素麺にたとえている。
1本の太いごんぶとの麺が過去で、未来に行くとそれがたくさんの細い束に分かれていく。
太いごんぶとと、細く分かれるその境界が現在。
この素麺が人間の人生で細い麺の1つが瞬間瞬間に選ばれ、最後には1本のごんぶとになって終わる。
未来人から過去のわれわれ、すでに死んだ人間を見ると、1本のごんぶと麺。
つまり過去は確定している。
反対に未来人の素麺は何本にも枝分かれしていて確定してない。
未来人と過去の人に縁があれば、過去の人のごんぶと部分と、未来人の確定したごんぶと部分が接している。
過去へのタイムトラベルはこの接した部分を頼りに時間をさかのぼる。
逆に未来へのタイムトラベルは、束の中のどれか1つの細い素麺の先、自分と縁のある子供の素麺をたよりに進んでいく。縁があるから時間的迷子にはならない。
ただし未来は確定してないので、どの細い素麺の先にでるかわからない。
だからタイムトラベルして未来の宝くじの当選番号を控えて過去に戻っても、それは可能性の1つで、必ずしもその番号になるわけじゃない。
過去は確定しているけど、未来は確定してない。
ところが235氏は未来人の塚本氏に「未来を予知する機械」をもらった。
未来を予知する機械「if-Box」
235氏が塚本氏を未来人と信じたのは、この機械の存在が大きかった。
235氏が塚本氏に「未来人と証明できるものは持ってないのか？」とたずねると、塚本氏はポケットからクレジットカードぐらいの大きさの機械と薬のカプセルを長くしたようなものを取り出した。
塚本氏が「これ、現在に無いでしょ？」と言ってカプセルをカードに入れると、目の前の空中に、辞書とか文化の説明みたいないろいろな情報が精細な映像で表示された。
まわりにいた客も「なんだあれ？」みたいな顔して見ていた。
ファミレスで未来の機械を使ったら大騒ぎになりそうだが、塚本氏は心配ないとのこと。
塚本氏いわく「未来は決まってないけど、現在には因果律があるから可能性は無限ではない」。
それは「宿命」と呼ばれていて、避けようとしても避けられない。
過去を変えようとしても無意識的に戻される。
そして未来に起こる、可能性の高い選択肢を表示することは可能だという。
235氏はそれを説明する次のようなエピソードを語っている。
235氏は塚本氏と昼前からずっと8時間ぐらい話していて、夜7時過ぎに店を出た。
そのとき写真を撮らせてとお願いして、2人で肩を組んで携帯のカメラで撮影した。
その場で携帯の画面を確認したら、確かに映っていた。
でも塚本氏が未来に帰ったあと確認したら「microSDがありません」というエラーが出て、PCに挿しても「フォーマットされていません」とエラーになった。
塚本氏は本来の時空に戻されると言っていた。
しかし塚本氏からもらった機械は無くならなかった。
235氏は当時、なんと2ちゃんねるにその写真をアップしていた。
その機械は「if-Box」と言って、行動を入力すると、それに対する反応をいくつか予測してくれる。「現時点で選択できるif」つまり未来を提示する機械だ。
しかし残念ながらそのデータはすでに消えてしまって今は見えない。
当時の参加者のレスを参考にすると、今までに見たことのない形で、青いLEDみたいな光を出していたようだ。
このときの写真データをお持ちの方がいたら、ぜひご連絡ください！
意識が時空を超えることは可能
それから塚本氏は「タイムリープ」に関しても興味深い発言をしている。
塚本氏いわく「肉体は空間に束縛されているが、意識は自由」で夢や幽体離脱によって時空を移動できる。
たとえば「この場面、見たことある」というデジャブを経験している人は時空を越える能力に恵まれていて、経験したことのない人も訓練次第で可能になるそうだ。
デジャブとは、夢などで意識が見た未来の記憶が現実と一致する体験で、過去・現在・未来は1カ所にあり、過去を思い出すように未来を思い出せばいいと。
ただ、過去は確定しているから簡単だけど、未来はいろいろあるから面倒なだけだと…。
235氏は塚本氏からもらった機械を使っていくうちに、機械がなくても未来を予測できるようになったそうだ。
235氏は未来を思い出すコツを次のように語っている。
「昨日の晩御飯、何を食べたかを思い出す感覚で明日の晩御飯を思い出す」
「お風呂やトイレなど、集中できる環境がいい」
「はずれても気にせず、当るようになるまで意識して訓練すれば、必ずできる」
「昨日の夜9時ごろなにしてた？ 思い出すよね」
「明日の夜9時ごろなにしてる？ 思い出す」
「まったく同じ。思い出せないと思い込んでるだけだ」と…。