●「アメリカ軍中佐の体外離脱研究リポート(2)」(脳機能とヘミシンク)

2018/1/23

 

脳波イメージ

前回の続き。

 

CIAが機密解除した文書の中に、アメリカ軍がアストラル・プロジェクションという体外離脱体験(身体から意識が離れて時空を旅する体験)について研究していたリポートが見つかった。

 

この文書(マクドネル・リポート)を書いたのはウェイン・マクドネルというアメリカ陸軍の中佐で、確かに実在する人物だった。

 

陸軍フォーマットに従う29ページ(約80,000字)の文書には、1983年にモンロー研究所

で、陸軍諜報部から選出された候補者を対象に体外離脱プログラムが実施されたことが書かれている。

 

今回はこの「マクドネル・リポート」を元に、モンロー研究所が提供する「ヘミシンク」技術とそれが脳機能にどう関係しているかを考察していく。

※「マクドネル・リポート」がCIAのファイルサーバーの問題で見られない場合は、下記からダウンロード。

ダウンロード
マクドネル・リポート
CIA-McDonnell-report.pdf
PDFファイル 2.3 MB

 

マクドネル・リポートの正式なタイトルは「ANALYSIS AND ASSESSMENT OF GATEWAY PROCESS」で訳すと「ゲートウェイ・プロセスの分析と評価」だ。

 

序文にはマクドネル中佐が軍に評価と分析を命じられた「ゲートウェイ・プロセス」の概要が書かれており、それはモンロー研究所が開発した右脳と左脳を同期させる「ヘミシンク」と呼ばれる技術を使って人間の意識を変性させ、身体から意識を離脱させて時空間を旅するという体外離脱現象を科学的に検証するものだ。

 

 

まず「ヘミシンク(hemi-sync)」とは何か?

 

「ヘミシンク」は、ロバート・モンローというアメリカの超心理学者が自身の体外離脱体験を元に開発した音響技術で、「hemisphere(脳半球)」と「synchronization(同期)」を組み合わせた造語である。

 

マクドネル・リポートにはイツァク・ベントフという1923年チェコスロバキア生まれのアメリカ人科学者の名前も度々登場する。

wikiによると、ベントフ博士は操作可能な心臓カテーテルの発明で知られており、音が意識に与える作用も研究していたそうだ。

 

ヘミシンクとは、簡単に言うと、普段は同期していない右脳と左脳を音響技術によって同期させ、意識を変性・拡張する技術だ。

 

ランプとレーザーの光の違いに例えると、普段の同期していない右脳と左脳の脳波はランプの光のようにまだらでぼうっとしているが、ヘミシンクによって同期された脳波はレーザー光のように収束されたものとなる。

 

※ここで「普段は右脳と左脳が同期していない」というマクドネル・リポートの内容が事実なのか調べてみた。

 

医療機器コンサルタント会社のホームページ(メディカルシステム研修所「脳波のなぜ?QA」)に脳波について詳しく説明されていたので参考にすると、右脳と左脳が同期していないというよりも、脳は、膨大な数のニューロン・ネットワークによって情報を分散処理するコンピュータのようなもので、普段目が覚めているときは分散性が高くなっている。

 

ただし寝ているときには同期性が高まり、一定のリズムで振幅の大きい特徴的な波形-いわゆるα波が観測される。α波は睡眠時だけでなく覚醒時のときも、目を閉じて安静にしていれば観測することができる。

 

つまり正確には「右脳と左脳」ではなく、普段は分散処理されている「脳全体」をヘミシンクによって同期させるといった表現が正しい。

脳機能の分散・同期イメージ

ちなみに睡眠時や安静時に観測されるα波に対し、脳が活発に動いているときの脳波としてβ波が知られているが、実際には睡眠時・覚醒時によらず、どちらの脳波も検出される。

普段目が覚めているとき何か考え事をすると、とたんに同期が崩れてしまいすべての脳波が減少するが、α波の方がβ波よりも影響を受けやすいので、β波が目立って見えるそうだ。

α波もβ波も覚醒時には抑えられ、睡眠時には大きくなる。

 

 

さてどのような音響技術によって同期させるかだが、ベントフ博士によればθ波と呼ばれる4~7ヘルツの周波数が効果的だという。

※θ波は夢を見ている状態や深い瞑想状態に観測される脳波。

 

われわれの脳は、異なる周波数の音を左右の耳で聞くと、その周波数の差を調整しようと働いて周波数の差に脳が同調しようとするFFR(周波数追従反応)という現象が起こるそうだ。

これを利用して被験者にヘッドフォンで左右異なる周波数の音を聞かせ、脳をθ波のビートに近づけていく。

 

wikiによると、FFRはABR(聴性脳幹反応)の一種で、音の刺激によって脳波が誘発される現象。ABRは被験者の意志や覚醒状態にかかわらず音の聞こえを脳波として調べることができるので、返事のできない新生児の聴力検査などに利用されている。FFRの方はまだ研究段階である。

 

※なおモンロー研究所でFFRについて実験したリポートがこちら。

7名を対象に7ヘルツ(θ波)と16ヘルツ(β波)で実験した結果、7ヘルツの方で脳波に変化があったという。

 

  

さてマクドネル・リポートによれば、ヘミシンク技術は脳の同期だけにとどまらない。

 

ヘミシンクを使用すれば訓練を重ねた瞑想状態に達することができ、地球の地表と電離層との間で観測される電磁場と7~7.5ヘルツの周波数で共振できるという。

この状態ではヘミシンクを使って共振している他の人たちと交信ができるようになるそうだ。

※地球の地表と電離層との間で観測されるこの波長はシューマン共振と呼ばれる。ただしシューマン共振のwikiにはヘミシンクとの関連は記載されていない。

 

 

ヘミシンク技術に関して、もっと知りたい方はモンロー研究のホームページか、「これならわかる! ヘミシンク入門の入門」のような入門書、詳しく知りたい方は「ヘミシンク完全ガイドブック全6冊合本版」などをご覧いただきたい。

 

 

今回考察したのはマクドネル・リポートの1~11章の部分で、全体の約30%だ。

 

マクドネル・リポートではこの後(12章以降で)ホログラフィー技術が紹介される。

 

今では珍しくもなくなったホログラフィー(wiki)だが、1947年にハンガリーの物理学者ガーボル・デーネシュによって発明されてから1960年代にレーザーが開発されるまで、あまり研究が進まなかった。

ちょうどマクドネル・リポートが書かれた1970年代から80年代にかけて、最新技術として盛んに研究されたようだ。

 

その中で12章以降で紹介されているような、ホログラフィーのもつ特徴を脳や宇宙にまで拡張した理論が誕生した。

 

35年以上も前に書かれたリポートなので今ではオカルト的な表現も使われているが、次回は「ホログラフィー」をテーマにマクドネル・リポートの続きを考察していく。