2016/11/28
時空を歪めるという特殊な「霧」がどんな仕組みで発生するのかを考察していく中で、なかなか決定的な手がかりをつかめずにいるが、今回はプラズマに関連した「球電」という現象の考察からはじめたい。
そもそも「球電(ball lightning)」は、wikiによると、発光体が空中を浮遊する自然現象、またはその発光体そのもののことをいう。色は赤やオレンジ、黄色などの暖色系が多いが青白いものや色が変化するものまでさまざま。大きさも10~30cmぐらいが多いが中には1mを超えるものも発生する。
球電は雷雨の時に遭遇する確率が高いといわれ、原因は自然発生したプラズマ説が有力とされるが、まだはっきりと特定されてはいない。
YouTubeなどの動画サイトにもアップされているのでまずはどんなものかご覧いただきたい。
●ロシアのノボシビルスクで撮影された球電
●長野県の高速道路で撮影された飛んでくる球電
●アメリカのスーフォールズで撮影された雷雲の中で発生した球電(37秒ごろ)
見かけは雷とよく似ている。
ちなみに雷は、
雲の中の水滴が凍ってそれ同士がこすれあって起こる静電気が原因。そのとき発生したプラスの電荷は雲の上方にたまり、マイナスを帯びた電荷が下側にたまる。このマイナスの電荷に連れられて地面ではプラスの電荷が集まってくる。
雲の下側のマイナス電荷が地面のプラスの電荷めがけて放電するのが落雷(逆に上方のプラス電荷に向かえば雲内放電)。
雷を手がかりに球電について調べていくと、東京学芸大学の鴨川教授による大気発光現象の研究に行きついた。
鴨川教授によると、球電の成因については数十年前からいろいろな科学者によって多くの説が提唱され、研究されてきたが、その中でも鴨川教授らの「大気中での電磁波干渉説にもとづくプラズマ生成」が数多くの目撃事実を最も説明することができるとのこと。
鴨川教授の電磁場干渉説では、電磁場の局在(電磁場が一箇所に留まって存在すること)により球状のプラズマが生成されるとする。電磁場の局在の原因については当初定在波(どちらの方向にも進行せず、その場で振動する波)の干渉と考えられていたが、定在波の干渉程度では大気がプラズマ化しないことがわかり、波の多重散乱によって強い強度を局所的に生じさせる現象であるアンダーソン局在によるものではないかと考えられている。
簡単に言えば局所的に集まった球状のプラズマが球電というわけであるが、それがどのようにして時空を歪めるのか?
この関連に関してはさっぱりわからない。
ただ球電=プラズマだとすれば電磁波を放っていると考えられる。
カナダのローレンシアン大学のマイケル・パーシンガー博士らの研究によるとプラズマから発せられる高磁場が脳波へ影響を及ぼし、幻覚症状が引き起こされることを実証したそう。
●超常体験は脳への磁気刺激が生み出す幻か(WIRED2002年4/23の記事から)
パーシンガー博士によると、TMS(経頭蓋磁気刺激)という技術によって特殊な連続パターンの磁気パルスを浴びた被験者が、目に見えない存在を身近に感じたり、全宇宙につながっているように感じたと報告している。パーシンガー博士は、プラズマのような自然界で発生する磁気干渉が、神秘体験や超常現象体験などの幻覚を引き起こすと主張する。
確かにこのサイトでも「もっともお手軽な過去を変える方法(3)(明晰夢で現実を変える)」の「脳への電気刺激で明晰夢に誘導する実験に成功、独研究」で、同じようなドイツのヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学のウルスラ・フォス博士のチームの研究を紹介している。
例えば東日本大震災で光る雲に包まれたワゴン車の乗員が見た、和と洋がミックスした過去の光景などは、プラズマが発する電磁波によって引き起こされた幻覚症状と説明できるかもしれない。
しかしカナダ人の男性が体験した霧に包まれた後の時間の遅延現象や、子供を連れてドライブ中のお父さんが体験した轍のない未舗装道のリアルさなどは説明がつかない。
やはり幻覚ではない可能性もある。
実は前回ご紹介したジェニー・ランドルズ氏の著作「タイムマシン開発競争に挑んだ物理学者たち」の中にそのヒントとなる事例が紹介されていた。
次回はロシアの科学者、チェルノブロフ博士の研究をご紹介したい。