●「時空を歪める霧の謎(4)(チェルノブロフ博士のタイムマシン)」

2016/12/5

 

「時空を歪める霧の謎(3)(球電)」の続き。

 

時空を歪める霧の謎を追っていくうち「霧の向こうに過去の世界を垣間見た」などのタイムトラベル体験談が、自然発生した球電=プラズマの電磁波によって引き起こされた幻覚症状の可能性をつきとめた。

 

しかし、謎の霧による現象すべてが幻覚で説明できるわけではない。

 

今回は前回の最後で触れた、ロシアの科学者、チェルノブロフ博士の研究を考察したい。

 

イギリスのUFO研究家、ジェニー・ランドルズ氏の著作「タイムマシン開発競争に挑んだ物理学者たち」によるとチェルノブロフ博士は、モスクワ航空大学の教授で、新しい航空機の推進システムを開発している過程で時間操作に関する技術を発見したそうだ。それを元に1988年4月に自ら制作したタイムマシンで実験を行ったとされる。

 

このタイムマシンは直径1mほどの大きさで、表面は多面体を組み合わせた球形であり、内部はロシアのマトリョーシカ人形のように球形の容器が何重にも入れ子構造になっている。

一番内側の容器は大きさが11.5cmほどで、タイムマシンを起動させた際に電磁場の強さが最大になる場所であり、極低温で超電導体になる。ここに被検体を乗せる。

 

チェルノブロフ博士のタイムマシンの原理電磁場を利用する。

一番内側の容器に電磁場を集中させると、電磁場がねじれた楕円形に変化し時空を歪め、タイムトラベルを可能にする。ただし大きな時間移動を可能にするには超電導体の改良と莫大なエネルギーが必要になるという。

 

このときの実験では1時間につき0.5秒程度の時間の遅れが計測されたそう。その後、実際に容器の中にネズミなどの小動物を入れた実験も行われたが、最初は上手くいかず被検体を死なせてしまった。その後容器の大きさなどさまざまな改良を重ね、ついには生きたまま生物を未来に送ることに成功したという。

 

1996年にサンクトペテルブルグで開催されたシンポジウムで、チェルノブロフ博士は研究の成果を発表した。

ただしその段階でもタイムトラベルは秒単位のものであり、それ以上のレベルに時間を延ばすことはできなかった。さらに他のタイムマシン同様、過去と未来へのタイムトラベルでは、過去の方がはるかに難しいとのこと。

※過去へのタイムトラベルが不可能とは書かれていない。

 

ランドルズ氏の本のエピソードはとても興味深く、その後チェルノブロフ博士の研究がどうなったか気になったので、ネットでいろいろ探し回った結果、図表入りの英語サイトを見つた。

 

残念ながら図の解説がロシア語なので詳細はわからないが、チェルノブロフ博士は自ら開発したマシンをタイムマシンとは呼ばず、資金調達のために(冷やかしを恐れてか)「将来の宇宙輸送システム」(Prospective Space Transportation System)と呼んでいる。

 

さらに検索すると「Experiments on the change of the direction and rate of time motion」(時間の作用の方向と速度の変化に関する実験)」というタイトルのチェルノブロフ博士によって書かれた論文を見つけた。

※1996, St.-Petersburgと記載されているので、ランドルズの本にあったサンクトぺテルブルグでのシンポジウムで発表された研究成果だと思われる。

 

かなり難解な文章だが、情報をかいつまんでみると、

 

(1)チェルノブロフの研究は「大気の異常現象に関する研究」からはじまった国家プロジェクトであり、1987年以降では(墜落した?)UFOの破片や写真などの痕跡から得られたUFOのボディ形状が、時間の速度と方向に影響するというデータが得られた。

 

(2)Kozyrevという教授によって名づけられた「時間の密度」は、t(タイムマシン内の局所的な時間)/ tE(地球上の標準時間)によって求められ、1988年の実験では99%~101%の間で変化した。

 

(3)実験機器は非常に繊細なものであり、微細な振動や月の月齢なども時間の速度変化に影響する。

 

(4)タイムトラベルの生物に対する悪影響は、時間変化そのものではなく、生物の身体の各部位によって時間変化の速度が異なることである。 

 

(5)時間変化のスピードに差があると、人間の目には白い霧のように見える。さらに大きな差があれば光る霧のように見え、それは危険信号である。

 

(6)「過去の自分に出会うこと」やタイムトラベルにつきものの「親殺しのパラドックス」は3次元の時間で解決される。

 

(7)我々の世界は6つの次元(3つの空間次元と3つの時間次元)で構成されている。

よく知られているように3つの空間次元は「高さ」、「幅」、「奥行」である。

3つの時間次元は「age or date of a Time(時間の年月日)」、「variant of a History or erosion of a Time(歴史の変遷or時間の浸食)」、「density or speed of a Time(時間の密度or速度)」である。4番目の時間(年月日)6番目の時間(密度or速度)は重力とエネルギーの関係のようなものでよく似ている。ワームホール5番目の時間(歴史)6番目の時間(密度or速度)へのアプローチである。

 

 

さて、それぞれ考察してくと、(1)は意味不明だがチェルノブロフ博士はタイムトラベルの原理を墜落したUFOからでも得たというのだろうか?

 

(2)、(3)から、まだチェルノブロフ博士のタイムマシンが大きな時間旅行はできないこと、さまざまな外的要因に影響され、不安定なことがうかがえる。

 

とくに今回のテーマに関して興味深いのは(5)だ。原文にも「white mist」と表記されている。タイムトラベルの際はやはり白い霧が発生するのか? さらに時間変化の大きいタイムトラベルでは発光現象をともなう霧(原文では「lighting mist」)が発生するのか?

 

個人的には(6)(7)も気になった。時間を3次元ととらえるのは「コール博士の6次元理論」と同じの考え方だ。また4番目の時間(年月日)6番目の時間(密度or速度)をあわせて「時間の矢」と考えれば、過去を変える方法(時間とは-直交する2つの時間)で紹介している「時間の矢(Arrow of time)」「歴史的な時間(Histrical time)」の関係にもよく似ている。

 

しかし残念なことに、肝心の電磁場を利用したタイムトラベルの理論はほとんど解説されていない。

 

他のサイトの情報などもいろいろ調べたが、どうやらチェルノブロフ博士は実験中に(偶然)電磁場を利用したタイムトラベルの方法を発見したらしく、その理論的な構築はまだできていないようなのだ。

 

電磁場を利用したタイムトラベル理論の解明はできなかったが、ロシアの国家プロジュエクトとして研究されていたタイムマシン、その成果を実際の写真でご覧いただこう!

 

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チェルノブロフのタイムマシン(NationMaster.comより)
チェルノブロフのタイムマシン(NationMaster.comより)

 

驚いてはいけない。一見70年代の懐かしきSF映画に出てくるようなデザインだが、大事なのは見た目ではない。その機能だ。

 

2001年にはついに人間を乗せて作動させることにも成功したという(宇宙服みたいな銀色のスーツを来た人が隣に立っているので、上の写真はこのときに撮影されたものかもしれない)。

 

その後のチェルノブロフの研究に関しては(私が探した限りでは)見つけることができなかった。

どうか、いまでも研究を続けていることを願う。

 

 

さて、4回にわたり「時空を歪める霧の謎」を追ってきたが、「これだ!」といえるはっきりした原因はいまだ特定できていない。

 

実は前回の「球電でご紹介した東京学芸大学の鴨川教授は、「大気発光現象」の他に「地震発光現象」も研究されている。

 

どうやら地震と大気の発光現象には関連がありそうなのだ

 

次回「時空を歪める霧の謎」の最終章として、地震と発光現象の関係、そしてそこから導き出されるタイムトラベルの可能性を考察したい。

 

いましばらくのお付き合いを。