●「2025年1月27日タイムトンネル出現!」(流出した中国のタイムマシン解説)

2023/9/23

 

中国のタイムマシン、タイムトンネル

今回は、流出した中国のタイムマシン論文を元に「2025年1月27日、南極でタイムトンネルが開通!」という話を紹介する。

 

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流出したタイムマシンの設計図

2021年2月ごろ、中国の6Parkというネットメディアに「国家的なタイムマシンプロジェクトに関する資料が流出した」という衝撃的なニュースが掲載された。

 

中国科学院所属の高エネルギー物理学研究所民間の「Ruitai Technology」という会社と提携し、「時空トンネル生成実験装置」の開発に乗り出したというのだ。

ニュースでは、もしこの装置が実用化されればタイムトラベル恒星間旅行延命など、さまざまな分野に応用できると伝えている。

 

しかし即座に中国政府も民間の会社もこの情報を否定し、偽情報ということで落ち着いた。

 

では、いまさらなぜこの話題を取り上げるのか?

 

タイムマシンの特許情報を調べていたら、たまたまニュースの元になった特許論文を見つけた。

そして機械翻訳を駆使しながら読んでみたところ・・・とても興味深い内容だった!

 

こちらがGoogle特許に掲載された「時空トンネル発生実験装置」の論文だ。

中国のタイムマシン論文/Google特許より
中国のタイムマシン論文/Google特許より

 

ちなみにこの論文は2009年3月11日に公開され、2011年9月14日に特許出願が却下されている。

 

特許出願が却下されているということは、やはり偽情報ではないか?

 

いや、そうとは言い切れない。一応「時空現象在野研究者」を自負しているので、掲載されたタイムトラベルの仕組みや数式を追ってみたところ、すべてが嘘だと決めつけるには惜しい内容だった。

 

以下にこの論文の解説をしていく。

ワームホール型タイムマシン

私がまず注目したのは、この論文で紹介されているタイムマシンが、ノーベル物理学賞受賞者のキップ・ソーン博士「ワームホール型タイムマシン」だったからだ。

 

ワームホール型タイムマシンは2023年の現時点で私が理論的に最も現実的だと考えるタイムマシンだ。

※詳しくは「現時点で制限なしで過去に戻れるタイムマシン(2023年度物理版)」を参照

 

1936年にアインシュタイン博士ネイサン・ローゼン博士は、相対性理論から導かれる2つの時空をつなぐトンネル「ワームホール」の理論を発表した。

 

キップソーン博士のタイムマシンはこの「ワームホール」を利用する。

 

「ワームホール」と呼ぶと小難しく聞こえるかもしれないが、ようするにドラえもんの「どこでもドア」だ。

 

のび太くんの部屋にどこでもドアの入口を置いて、出口を土管の公園に置く

そして土管公園の出口を光の速度に近い速さで振動させると、特殊相対性理論から出口に流れる時間が遅くなっていく

この状態で入口に入ると、出口から出てきたのび太くんは過去の世界に行くことができる

 

でもこのタイムマシンを実現するためにはクリアすべき課題があった。

 

1.どうやってどこでもドアのようなワームホールを作るか?

 

2.できたワームホールを人間が通れる大きさにどうやって拡大し維持するか?

 

3.どうやって出口を光に近い速度で振動させるのか?

 

そしてこれは、現在考案されている他のタイムトラベル理論にも共通するが、

 

4.タイムマシンの完成より前の過去の時間に戻ることはできない。

 

しかし今回の論文は、これらの課題をクリアしている。

 

その鍵をにぎるのは「Chronon(クロノンまたはクローノン)」という時間粒子だ。

時間粒子「Chronon」

クロノンは1947年に、中国のノーベル物理学賞受賞者、ヤン・チェンニン博士によって提案された仮想粒子だ。

ヤン博士によると、時間は過去から未来へと流れる連続したものではなく、その正体は陽子や電子など他の物質と同じ飛び飛びの粒子だという。

 

「時間が粒子?」と驚かれるかもしれないが、ミクロの世界を研究する「量子力学」では。この世界を構成する物質は拡大していくと連続したものではなく、粒のような飛び飛びの最小単位を持っていると考えられている。

 

これは1900年にドイツの物理学者、マックス・プランク博士が提唱した量子仮説がはじまりで、現在の量子力学の基礎理論として採用され、その単位はプランク博士にちなみ「プランク単位」と呼ばれる。

 

たとえば長さの最小単位は「プランク長」で、真空中の光がプランク長を通過する時間を「プランク時間」としている。

つまり時間にも最小単位があるのだ。

 

ただしこの論文で紹介されているクロノンは、プランク時間より20桁も大きい(長い)とされる。

この世界で時間の元になる物質は、考えられているよりずっと大きいということだ。

 

しかもこのクロノンは、電子など同じように粒と波の2つの性質をもつ。

また電気的には中性で、質量もあるが電子や他の物質と相互作用せず、ただ重力とだけ相互作用する

 

つまり他の物質とやりとりしない(光など通常の方法では観測できない)ので、これがクロノンがまだこの世界で発見されていない理由だという。

 

ちなみに重力としか相互作用しないのは、宇宙の星々が銀河の回転によってばらばらにならないようにつなぎとめている未発見の物質「ダークマター(暗黒物質)」の特徴とよく似ている。

 

クロノンは、そのものが時間の元になる物質で、クロノンが集まっていて密度の高いところは時間の流れが速くなり、逆にクロノンの密度が低いところは時間の流れが遅くなる

 

アインシュタイン博士の相対性理論では、物質の速度や重力の強さによって時間の流れが遅くなったり速くなったりするが、この論文ではその原因となる物質がクロノンだとしている。

 

そしてクロノンは、無数に集まって1本のひも「時間弦」を作る。

時間弦

インフレーション理論から宇宙の誕生時には、この宇宙以外にもたくさんの宇宙が生まれたとされており、「時間弦」はそのとき生まれたさまざまな宇宙を横断する「時間の輪」になっている。

「クロノンの時間の輪」
「クロノンの時間の輪」

この輪の一部を垂直方向に引っぱると、ちょうど輪ゴムの一部を伸ばしたときのようにその密度が低くなる

「時間弦の一部をひっぱる」
「時間弦の一部をひっぱる」

 

時間弦の歪みが大きくなりクロノンの数が減ると、時間の流れが遅くなる。そして限界以上に伸ばすと、このクロノンの輪はちぎれてしまう

 

ちぎれたクロノンは切断された端がほかの宇宙の時間弦とくっつく

すると他の時空とこの時空を結ぶ「ワームホール」が誕生する

南極に現れたワームホール

ここまで読んで、「なんだ、仮定の話ばかりじゃん」と思われたかもしれないが、論文にはクロノンのワームホールが原因で起こったとされるタイムスリップ現象が紹介されている。

 

1995年1月27日イギリスとアメリカの研究チームが南極で調査中上空に渦を巻いている灰色の霧を発見した

南極に現れたワームホールのイメージ
南極に現れたワームホールのイメージ

さまざまな観測機器を積んだ気球を霧の中に打ち上げて調べようとしたが、気球は霧に到達すると消えてしまった

急いで気球につながったロープを引っ張って地上に降ろすと、気球に積んでいた時計が30年前、1965年1月27日の時間を示していた

その後も研究チームは何度か実験を繰り返したが、すべて同じ結果だった。

 

地球は1つの大きな磁石で、磁場のプラスとマイナスを結ぶ磁力線は、北極と南極で最も強くなる

論文によると時間弦は磁力線に引き寄せられ、北極と南極には時間弦が集中する

しかも地球の自転によって2つの極では時間弦が大きくねじれ、渦巻き状になっている

そして地球の固有振動数時間弦の固有振動数共振すると、時間弦がちぎれこの時空と他の時空とを結ぶワームホールが形成される

 

ちなみに「共振」とは、それぞれの物質が持っている独自の振動数と同じ振動が加わると、さらに振動が大きくなる現象だ。

論文には、1831年にイギリスのマンチェスターで兵隊たちが吊り橋を渡っていたところ、兵隊たちの行進のリズムが橋の固有振動数と一致し共振が発生、橋が壊れたという事例が紹介されている。

 

時間弦の固有振動数と地球の固有振動数が一致したとき共振現象が起こり弦がちぎれる

ちぎれた弦の端は他の宇宙の時間弦と結びついてワームホールが発生する

 

南極で科学者たちが打ち上げた観測気球そのワームホールを通って別の宇宙、1965年1月27日にたどり着き、そこの時間を計測した

 

ちなみに「なぜ時計の時間が30年前に巻き戻ったのか?」だが、ワームホールを通ったからといって時間は巻き戻らない

※もし巻き戻るならばそこを通る物質はすべて時間の逆行現象にさらされ、宇宙船は鉄やアルミニウムなどの材料に、大人は子供に若返ってしまい、危険極まりない。

 

気球に搭載されていた時計は、電波を受信して正確な時刻を表示する「電波時計」だったのだろう

電波時計は1960年代には製品化されており、電波時計がワームホールを越えた先の電波を拾い、その時空の時間を示したのだ。

 

そしてこの異常現象は長くは続かない

ひっぱられた輪ゴムが元に戻るように、一定の時間が経過すると歪んだ時間弦は元に戻り、時間弦は元の時空につながってワームホールは消滅する

 

しかしこのワームホールを人間が通ることができれば、1995年から30年前の1965年にタイムトラベルすることができる

 

なお「ワームホールの中を人が通っても大丈夫か?」と気になる方もいるだろう。

心配ご無用。ワームホールの中にはクロノンが存在しない、つまり時間が経過しないのでワームホールに入る前と出た後で体に変化はない

 

だが1つ問題がある。この現象は自然現象だ次にいつ起こるかわからないでは、意図したタイムトラベルができないではないか?

 

それに関して論文は興味深い予測をしている。

次にタイムトンネルが開通するのは2025年1月27日

時間弦と地球の共振で発生したワームホールは、過去方向だけでなく未来にも接続される

 

1995年1月27日を起点として、30年前の1965年1月27日につながったということは、30年後の2025年1月27日にもつながる可能性がある。

 

論文ではさらにこのようなワームホールが、30年ごとだけではなく10年ごとなど南極に周期的に形成されると予測している。

 

さらに論文には、クロノンの原理を使って人工的にタイムトンネルを発生させる「タイムマシンの理論と設計図」も掲載されている。

時空トンネル生成実験装置

これが論文に掲載されている人工的にタイムトンネルを発生させるタイムマシンだ。

時空トンネル生成実験装置(論文の図にBTTPが日本語注釈を追記)
時空トンネル生成実験装置(論文の図にBTTPが日本語注釈を追記)

 

この装置は円筒型の真空密閉実験室(2)で、外部の空気抜き用のエアポンプ(14)に接続せれている。

内部には回転装置(4)があり、磁気浮上リングトラック(5)磁気発生器(6)電気モーター(7)によって磁力を生み出しながら回転する。

高周波振動機(3)左右の振動溝(1)に固定され、高周波振動機の中央には超電導ソレイド(12)が、その下部にはエレベーターリフト(11)が設置されている。

エレベーターリフト内には密閉輸送キャビン(8)がある。

この円筒実験室は内部で発生する強力な電磁場が外に漏れ出さないようシールド処理され、密閉輸送キャビン内も中のインテリジェント検出器(9)に影響を及ぼさないようシールド処理されている。

インテリジェント検出器には、時刻、日付、気圧、物質組成、温度、湿度、外の画像が解析できる機能が備えられており、各種データを実験室にフィードバックする。

実験装置の使用方法

この装置は次のように使用する。

 

1.実験開始前にすべての機器を5~8回チェックし、正しく機能するか記録する。

 

2.エアポンプを作動させ、円筒型実験室内を5Pa(パスカル)まで真空にする。

 

3.電気モーター(7)と磁気発生器(6)を始動させる。

 

4.回転装置(4)と高周波振動機(3)を起動させ、少しずつ回転速度と振動周波数を上げていく。磁気発生器も回転装置とともに回転し、超電導ソレノイド(12)によって電磁場の渦が発生する。

 

5.出力電流が400Aから450A、回転速度が500r/minから600r/min、振動周波数が100hzから400hz、実験室の磁場強度が8000ガウスになると実験室全体が緑色に発光し、強力な電磁場の渦が発生する。渦は回転装置と高周波振動機によって高速回転と上下の共振振動を生じる。

このとき、実験室内のクロノン密度は高くなり、時間弦が渦とともに絡み合い、高速回転と高周波振動により大きく歪む。

出力電流450A、磁界強度9000ガウス、回転速度600r/min、振動周波数400hzで渦の固有振動数400hzと共振し、時間弦が切断され、ワームホールが形成されはじめる。

 

6.ワームホールの断面直径が2mに達しても、対応する磁場強度、回転速度、振動周波数は変化しない。

 

7.インテリジェント検出器(9)が密閉輸送キャビン(8)に入り、エレベータートンネル(10)に運ぶ。エレベーターリフト(11)が密閉輸送キャビンをワームホール内に上昇させ、キャビンが開いて検出器が射出される。

 

8.インテリジェント検出器は、別の時空の、時刻、日付、気圧、物質組成、温度、湿度などの各種データを実験室にフィードバックする。

 

9.すべての実験プロセスはコンピュータによって制御および監視されている。

 

10.実験装置を停止させ、実験終了。

 

 

まさに南極のタイムトンネルを実験装置によって人工的に発生させるタイムマシンだが、皆さんは解説を読んでどう感じただろうか?