2025/5/3
「ブラックホールは位相欠陥かも」という論文と「電磁力は時空の歪みかも」という論文を考察していくうち、宇宙の謎を説明できる「万物理論」が見えてきた!
●きっかけの動画はこちら↓
以前「ブラックホールの一部は、ブラックホールに見える別の天体かもしれない」という研究を紹介した。
●「白いトンネルでタイムスリップ&ワープ」(トポロジカル星・位相欠陥)
2023年に米ジョンズ・ホプキンズ大学の研究チームが発表した論文によれば、私たちが「ブラックホール」と呼んでいるものが実は「位相欠陥(トポロジカルソリトン)」という奇妙な時空の構造かもしれないという。
●ブラックホールは位相欠陥かもしれないという論文
Imaging topological solitons: The microstructure behind the shadow
普通のブラックホールは「光さえも脱出できない超重力天体」と考えられている。
中心には無限の重力と密度をもつ「特異点」があり、周囲には一度この境界を越えると二度と外に出られない「事象の地平面」という境界があると言われている。
しかしジョンズ・ホプキンズ大学によれば、ブラックホールの一部には事象の地平面も特異点もなく、実は「位相欠陥」という時空のねじれた構造かもしれないという。
この「位相欠陥」は遠くから見るとブラックホールにそっくりだが、中に入っても脱出できる可能性がある。
この考え方を理解するには「位相空間」という概念が重要だ。私たちの住む宇宙の空間と時間は、単なる「入れ物」ではなく、様々な形に曲がったり、ねじれたりできる柔軟な「布」のようなものだと考えてみる。
「位相(トポロジー)」とは、この布がどんな形に結ばれているか、どんなねじれ方をしているかを表す。例えば、コーヒーカップとドーナツは位相的には同じものだ(どちらも穴が1つある)。でも球とドーナツは位相的に違う(球には穴がない)。
宇宙の空間も同じように、様々な「位相」を持つことができると考えられている。「位相欠陥」は、この宇宙空間にできた「秩序の中の乱れ」だ。
先日フィンランドとオーストラリアの研究者チームが「電磁力は時空の伸び縮み」だという論文を発表した。
●電磁気力は時空の歪みかもしれないという論文
Electromagnetism as a purely geometric theory
論文によれば、Weyl空間という特殊な空間い、電磁力を時空の「伸び縮み」という幾何学で表すことに成功した。電荷や磁場は時空のある種の歪みの現れであり、マクスウェル方程式も時空の幾何学的性質から導き出せるという。
アインシュタイン博士の一般相対性理論によれば、重力は時空の「曲がり」だ。質量があるものが時空を曲げ、その曲がりに沿って物体が動くことが重力として現れる。
この世界には「電磁力」や「重力」以外にも、原子核を束ねる「強い力」、放射性崩壊に関わり原子核を変化させる「弱い力」の4つの力がある。
もし宇宙の時空が本当にこのような「位相空間」だとしたら、この自然界の4つの基本的な力(電磁力、強い力、弱い力、重力)はすべて時空の歪みとして理解できるかもしれない。
例えば、原子核の中でクォークを結びつける「強い力」は、極めて小さなスケールで空間がねじれ、クォークを閉じ込める「結び目」のような役割を果たしているのかもしれない。
一番なじみの薄い「弱い力」は放射線や太陽の核反応などに関わる力だが、4つの力の中で唯一「パリティ対称性」(左右対称性)を破る。特に他の4つの力は時間を逆にしても同じように働くのに弱い力だけは「未来」に向かってしか働かない。弱い力は時間の方向と特別な関係があり、時間方向に歪んでいると考えらる。
つまり自然界の4つの力はすべて時空の「歪み」=「位相空間」に由来するのかもしれない。
この時空の「位相空間」というアイデアは、現代物理学が抱える3つの大きな謎にも新しい解釈を与えてくれる。
従来の理論では、ブラックホールに落ちた情報は二度と取り出せず、永久に失われるとされていたが、これは量子力学の保存の原理と矛盾する。
位相欠陥によるブラックホールならば、情報は時空のトポロジカルな構造に保存され、いずれ外部に漏れ出す可能性がある。
回転する銀河をバラバラにならないように結びつける宇宙の見えない質量の正体は、位相欠陥の一種かもしれない。
通常の物質とは異なる位相を持つため光とは相互作用せず、重力のみ相互作用する。
ダークマターの候補と考えられいるWIMPやアクシオンといった新たな物質ではなく、時空構造そのものの特性である可能性がある。
宇宙の加速膨張を引き起こす謎のエネルギーは、位相空間の基本的な性質かもしれない。
宇宙全体に位相欠陥のネットワークが広がっているとすればダークエネルギーは新たなエネルギー源ではなく、時空の構造そのものから生じる現象かもしれない。位相欠陥が宇宙に「負の圧力」をもたらし、それが宇宙の加速膨張を引き起こしている。
ではどうやって時空は「位相空間」だと確かめるか?
最も有望なのは、イベント・ホライゾン・テレスコープ(EHT)のような高精度観測装置でブラックホールの「影」を詳しく調べることだ。もしブラックホールが本当に位相欠陥なら、ブラックホールシャドウ(影)の内部から微弱な光が検出されるかもしれない。
また、重力波観測の信号にも、位相欠陥特有の「エコー」パターンが現れる可能性がある。
これらの考え方はまだ仮説の段階だが、もし証明されれば物理学に革命をもたらすはずだ。
フィンランドとオーストラリアの研究者チームが示すように、時空を「位相空間」として捉えることで、自然界の基本的な力、謎の物質やエネルギーをすべて統一的に理解する「万物の理論」への道が開けるかもしれない。
宇宙は私たちが考えていたよりもずっと奇妙で、シンプルなのかも…。
この論文は「時空の量子位相構造に基づく統一場理論」というテーマで、電磁気学を純粋に幾何学的な理論として解釈するフィンランドとオーストラリアの研究者チームの研究と、位相欠陥型ブラックホールに関するジョンズ・ホプキンズ大学の研究を統合・発展させたものです。
主なポイントは次の5つ:
(1)4つの基本相互作用を時空の幾何学的・トポロジカルな性質として統一的に記述
(2)弱い相互作用のパリティ対称性の破れを時間方向を含む時空の歪みとして解釈
(3)ダークマターとダークエネルギーを時空の量子位相構造から自然に導く統一的理解
(4)位相欠陥型ブラックホールによる情報パラドックスの解決
(5)理論の検証可能性と実験的予測
※論文は2025/5/2段階のもので、LaTexが一部文字化けしているので修正中です。